入院の中学生「学校に通えず病院で学習支援」
調査で浮かび上がった学齢期の子供も新たな問題だ。かつて8か月の入院を強いられた10代の少女は、親の育児放棄から「心身症」と診断され、中学生で入院した。退院できる状態になった時、相談所から「受け入れ施設が見つからない」と言われた。病院からでは中学にも通えず、病院で週3回学習支援を受けた。
「辛かった。当たり前だった学校も友達もなくなって、ずっと1人。寂しかった」と話す。ノートには「もうつらいよ。だれかたすけて。ずーっと一緒にいる人が欲しい」と書いていた。
厚労省は虐待で保護した子供の入院期間は最小限にすべしとしていたが、虐待入院の異常事態は想定していなかった。打開策はあるのか。奥山さんは「日本は海外に比べて里親が少ない。里親を増やすよう社会全体で取り組むシステムを作る必要があります」という。
正論かもしれないが、なんか腑に落ちない。そもそもなぜ虐待が起こるのか。育児放棄をするのか。その親の方を考えるべきではないのか。明治期に日本を訪れた欧米人は異口同音に、「これほど子供を大事にしている社会は見たことがない」と書いたものだ。歯車がどこで狂ったのか。その方が気になる。
*NHKクローズアップ現代+(2017年7月20日放送「知られざる"虐待入院"~全国調査・子どもたちがなぜ~」)
文
ヤンヤン