「小さな殺人鬼」と呼ばれる南米原産の猛毒を持つヒアリが、今度は東京の大井ふ頭のコンテナで見つかった。今月(2017年7月)3日に見つかったのは1匹だったが、7日には新たに100匹以上が確認されている。
兵庫・尼崎港で5月26日(2017年)に初めて発見されて以来、神戸、名古屋、大阪の各港に続きこれで5件目。ヒアリは繁殖力が非常に強く、内陸に侵入されてしまうと駆除が難しい。
その理由は、生殖機能を持つ女王アリとオスアリは飛ぶことができ、飛行中に交尾をする習性があり『結婚飛行』と呼ばれ、飛んでいった先で産卵し繁殖する。しかも女王アリは1日2000個も産卵するという。
またヒアリの驚くべき習性は他にもある。女王アリを守るために集団でボールのような弾力のある個体を作り、衝撃を加えても吸収してしまう。またこの個体は水に浮き、沈まない。
国立環境研究所生態リスク評価対策研究室の五箇公一室長は「南米という過酷な環境の中で、洪水などの状況に置かれても生き残れるように進化したのだろう」という。
台湾でヒアリを調査中に刺されたことがある『ふじのくに地球環境史ミュージアム』の岸本年郎准教授は「最初は手がパンパンに腫れ、そのうち全身にじんましんが出て、冷や汗がダラダラ出て呼吸が苦しくなった。病院に行って点滴を受け2時間ほどで正常に戻った」と話す。
アメリカでは年間100人ほどがヒアリに刺されて死亡しているという。
大井ふ頭近くには公園、競馬場
岸本准教授によると、東京や大阪などのコンテナが運び込まれる埠頭周辺は、ヒアリの棲息に好適な環境が広がっている指摘する。今回ヒアリが見つかった大井ふ頭コンテナターミナル周辺には、200m離れた場所に『みなとが丘ふ頭公園』のほか、近くには『大井埠頭海浜公園』や『大井競馬場』もある。
これまで見つかったヒアリは、すべて中国から運ばれてきたコンテナに乗せられてやってきた。このためスタジオのカンニング竹山(お笑い芸人)は「日本で対策をとってもまた外国からコンテナで来るから、ずーっとイタチごっこですよね」と嘆く。
日本としては中国からのとんでもない招かざる客だが、埠頭周辺で殲滅するしか防護策はなさそうだ。