九州北部を襲った豪雨は、河川の氾濫と土石流で被害の全容が把握できないほどの災害をもたらした。10時間ほどで1か月分を上回る降水があり、気象庁も「異常事態」という。今回の豪雨の特徴は増水の速さだった。救出された女性は「あっという間でした。逃げようと思った時は道路を歩けない。車が流れていくんですよ」と話している。
雨はどのように降ったのか。NHKの島川英介記者が地図で雲と雨の動きを示す。5日(2017年7月)午後2時頃、福岡県朝倉市、大分県日田市近辺に猛烈な雨を示す紫色の表示が出て、10時間以上も留まり続けた。線状降水帯と呼ばれる現象だ。東シナ海からの湿った大気が朝倉市の西にある背振山地にぶつかって、積乱雲が発生しつづけていた。
原因は東シナ海の海水温の高さ。気象庁データで平年より1、2度高い。名古屋大の坪木和久教授は「非常に特殊な現象と考えていいです。現在の技術でこれを予測するのは非常に難しい」という。
武田真一キャスター「どこでも、突然、起こりうるということです」
大木を根っこごとえぐり取り
砂防・地すべり技術センター研究顧問の池谷浩さんは「いたるところで深層崩壊が起こった」という。地表から2メートル以上の深いところから山肌が崩壊する現象だ。膨大な量の流木がそれを物語る。流木というが、きのうまでは山肌に生えていた木だ。大量の雨が根っこごとえぐり取ったのだ。
7日は雨域が広がり、福岡市内などで豪雨が続いている。