都議選は安倍首相のポチ新聞・読売新聞でさえ「自民歴史的惨敗」と書かざるを得なかった。小池都知事率いる都民ファーストの会の予想以上の圧勝だった。投票日、私も昼過ぎに一票を投じたが、投票場となった小学校に人影はまばらだった。
期日前投票は多かったが、あまり投票率は伸びないのではないかと思っていたが、やはり前回を上回ったものの51・27%と、関心の割には低かった。
若者層の投票率が低く、中高年の割合が高かったと思われる。読売は社説で「自民党の安倍政権の驕りと緩みに反省を求める。それが、首都圏の有権者が示した意志と言えよう」。さらに安倍首相は今回の敗北を重く受け止め、「言葉で『低姿勢』を強調するだけでは済まされない。疑惑や疑問には丁寧に説明し、重要政策で着実に結果を出すべきだ」と、安倍をたしなめた。
この言葉は、安倍の走狗となって前川前事務次官を貶めようとする記事を書いた読売にも跳ね返ってくるはずである。
中谷元前防衛相が、都議選の大敗は「THIS IS 敗因。Tは豊田、Hは萩生田、Iは稲田、Sは下村」と分析して見せた。だが一番の元凶が抜けている。安倍首相である。
自身と妻の昭恵が関わっていた疑惑が極めて濃厚な森友学園、加計学園問題には、逃げ回るだけで説明責任をまったく果たさない。
それだけではない。森友学園の籠池前理事長には、大阪地検特捜部を動かして国や大阪府から補助金を騙し取った容疑で家宅捜査させ、逮捕して口封じしようとしている。まさに「国策捜査」である。
加計学園に補助金詐欺疑惑
だが、週刊新潮によると加計学園の加計孝太郎理事長にも、補助金詐欺疑惑が持ち上がっているという。
今治市で進めている獣医学部新設の総工費は約192億円で、そのうちの半分96億円を県と市が補助金で負担することになっている。
6月21日(2017年)に今治市議会に新設する建設費の見積もりが加計学園から提出されたが、そこには「施設は全部が鉄骨造りで費用はトータルで約148億円になる」とあったそうだ。
単純計算すると坪単価は約150万円になるが、これはけた違いに高いと『今治加計獣医学部問題を考える会』の村上治共同代表が指摘する。
例えば、3年前に十和田キャンパス(青森県)の獣医学部棟を建て替えた北里大学は、鉄筋コンクリート造りで、建設費は当時で坪82万円だった。一般的には鉄筋コンクリート造りのほうが鉄骨造りより高いそうだから、加計学園の見積もりは異常に高いといわざるを得ないようだ。
今治市はまったくノーチェックで、加計学園のいうがまま96億円という補助金を決めてしまっている。だが、建設費の水増しで、補助金だけで学部を新設しようと目論んでいるのではないかというのである。
週刊文春は、獣医学部新設については、8月末に文科省の審議会で最終判断されるが、7月10日に行われる国会の閉会中審査では、週刊文春が追及している下村元文科相と加計学園の癒着疑惑も追及されるから、「加計疑惑はまだ終わらない」(週刊文春)という。
週刊ポストも加計学園の不都合な真実がまた出てきたと報じている。加計理事長が代表を務める自民党岡山県自治振興支部は、ポストによると、加計グループの「英数学館 岡山校」と同じ住所にあるというのである。
加計が自民党支部の代表を務めることは違法ではない。だが、学校の運営と政治活動は切り離さなくてはいけないこと、教育基本法など引っ張り出さなくとも、自明の理である。
この支部は82年に設立され、加計が就任したのは94年から。収支は驚くほど少なく、15年度会費7万2800円だという。
しかし、加計の力はその「集票力」にあるそうだ。学校をやっているから、建設業者をはじめ事務機から食品に至るまで出入り業者が多くいて、その票を集める力によって岡山や中国地方の政界に強い影響力があるというのである。
また、収支報告書には事務所費の記載がない。家賃を支払っていなければ支部が家主から家賃相当額の寄付を受けたことになるから、報告していなければ「不記載」に当たる。
さらに英数学館が私学助成の補助金を受けていれば、国からの補助金を得ている法人の政治献金を禁じる政治資金規正法にも抵触する恐れがあるという。
「加計氏は支部の代表者としても、学校法人の理事長としても、違法行為の疑いが濃厚なのだ」(ポスト)
加計側は、適切に処理しているから問題はないと答えているが、週刊ポストのさらなる取材に期待したい。