自民党のこんな負け戦見たことない--という東京都議選の歴史的惨敗の衝撃は、一夜明けてさらに重くなっている。安倍首相は昨日(2017年7月3日)、「初心に立ち返って、謙虚に丁寧に」といった。初心を忘れ、謙虚でないとどうなるか、がわかったか。おごりを生んだと言われる高い内閣支持率にも陰りがでそうだ。
安倍首相は政府与党連絡会議で、「厳しい審判をいただきました。厳しい叱咤と深刻に受け止め、深刻に反省したい。もう一度、あの政権交代時の初心に立ち返って、謙虚に丁寧に政策を進め、結果を出して国民の信頼を回復していきたい」と述べた。
自民党内では今、「THIS IS 敗因」というフレーズが言われているという。「THIS」というのが実は、人名の頭文字で、「T」は豊田真由子衆院議員。秘書への暴言の音声が連日テレビで流された。「H」は萩生田光一官房副長官。加計学園問題で、暴露文書にあった「官邸の最高レベル」の当人とされた。
「I」は稲田朋美防衛相。応援演説で「防衛省、自衛隊も応援する」とやって、これで弁護士かと呆れられた。「S」は下村博文党都連会長。終盤で週刊文春に、加計学園から「ヤミ献金」とやられ、否定はしたものの、惨敗要因の仕上げをしてしまった。
松井一郎大阪府知事までが、「国会議員が都議会議員選挙の足を引っ張って、足し算ではなく掛け算にしてしまった」といった。
昨日はまた、麻生派、山東派などが合流して新麻生派「志公会」(衆参59人)が発足。首相派閥「細田派」に次ぐ勢力が誕生した。しかし麻生太郎副総理は、「安倍政権をど真ん中で支えていく」として、安倍対抗勢力でないことを強調した。そういえば、開票の夜、麻生氏は安倍氏と会食していた。
一方、民進党にとっても事態は深刻だ。野田佳彦・幹事長は、「都民は明確に安倍政権にノーという意思表示を示したが、存在感を出せなかったのは残念」と受け皿になれなかった無念を言った。
「都民ファーストの会」を応援した河村たかし・名古屋市長は、「どえりゃあよかったじゃないですか。新党作らないかんです」と相変わらずストレートだが、小池知事は、逆に「都民ファーストの会」の代表を辞任して、当面都知事に専念するとの姿勢を示した。
自民党内からも厳しい声
自民党内からは、きつい声も聞かれる。石破茂・前地方創生相は、「街頭でこれまでにない不満を漏らす人が相当数いた。極めて印象的だった」と言った。「当該閣僚はもちろん、党三役もやめるべきだ」という声もある。後藤田正純衆院議員は「執行部はおかしい。密告・引き締め・礼賛」とまでいう。
司会の小倉智昭「THIS IS ......も、言ったのは自民の閣僚経験者だという」
時事通信の田崎史郎氏「いろんな人いますからね」(笑)。田崎氏によると、敗戦の第一は都議会自民党の体質の古さ。それに国会議員のドジが加わったのだという。
自民党もこの敗北で、国政レベルでも譲歩することになりそうだ。加計学園問題などについて国会の閉会中審査に応ずるかもしれないという。安倍氏もどこまで「謙虚」になれるか。選挙最終日の秋葉原で、「安倍やめろ」コールに切れて、「こんな人たちに負けるわけにいかない」と言ったの、みんな覚えているぞ。