都会ではコンビニよりも多いという歯科医院に感染症のリスクの盲点があることが分かった。
歯科医院で口の中に入れる医療器具の半数が交換されないまま別の患者に使用されている実態が、厚労省の調査結果で明らかになったのだ。なぜ交換されないのか?「ビビット」では、衛生対策をとっている東京・銀座の池渕歯科の池渕剛院長を取材し、背景を探った。
今回問題になっている医療器具は「ハンドピース」(正式名称「エアタービン」)と呼ばれる歯を削るドリルを取り付ける柄の部分。先端付近が患者の口の中へ入るため唾液が付着し交換しないまま使うと感染症を起こすリスクが高い。
調査結果では、「患者の都度交換している」が約半数の52%、「感染症患者と分かった場合に交換・滅菌」が17%、「状況に応じ交換・滅菌」が16%、「消毒薬で拭く」が14%だった。 もっとも、それでも改善されたという見方がある。同省が5年前調査した際は7割が交換せずに使い回ししていたという結果が出ていた。
では、なぜ患者ごとに交換せず滅菌作業を怠るのか? 池渕院長は「費用と手間の問題だと思う」と話す。
ハンドピースは1本10万円~15万円。一般的な歯科医院では、患者ごとに交換するには20本程度(200万円~300万円)、滅菌作業には121度の高温で約15分間高温処理する専用の装置(1台86万5000円)が必要だ。
B型肝炎などに感染する危険性も
さらにハンドピースに装着し実際に歯を削ったりする30種類以上ある替え刃(1本36円)もそろえる必要もあり、それやこれやでコストと手間がかかるというわけだ。しかし交換を怠るとB型肝炎などに感染する危険性が高い。アメリカではHIVに感染した例もあるという。
患者ごとに器具を交換している池渕院長は「感染症を防ぐには歯科医師のHPで確認するか、直接聞くのがよい」と話している。
コメンテーターの千原ジュニア(お笑い芸人)は「よ~聞かれんね、昔からお世話になっているところやし。こういう番組で伝えることがすごく大事ですね」。倉田真由美(漫画家)は「軽い虫歯より怖いことになりかねないですよね」。
歯科医院の盲点には気を付けよう。