マーベルシリーズの大人気作Ⅹ-メンのキャラクター「ウルヴァリン」を主人公としたスピンオフシリーズの第3弾。ウルヴァリン役は前作同様ヒュー・ジャックマンが務める。監督は「ウルヴァリン: SAMURAI」のジェームズ・マンゴールドが担当。
本作はⅩ-メンシリーズの中でも、最も切なく悲しい物語である。
2029年、25年間で新たなミュータントは生まれず、彼らの存在はもはや絶滅の危機に瀕していた。何といっても冒頭から驚かされたのは、91歳になった「世界一危険な脳を持つ男」ことプロフェッサーⅩ(チャールズ)が、あろうことかアルツハイマーになっていたこと。自身の能力をコントロールできなくなった彼の発作は、多くの人を危険に晒す。よって半ば軟禁状態で彼を薬漬けにし、それをローガンことウルヴァリンが介護していたのだった。しかもウルヴァリンも、自身の不死の体が徐々に老化し、能力が低下。また、体に埋め込まれたアダマンチウムが身体を蝕んでいた。不眠症に陥り、ついにはアルコール中毒になってしまっていた。全盛期の実力もなく落ちぶれ、今はリムジンの運転手をしている。発作の起きにくい海の上でチャールズと暮らすため、船を購入する資金を貯めていたのだ。
若くて頭の悪いパーリーピープルのセレブ達を乗せ、はうんざりしながら毎日を過ごしているウルヴァリン。しかしチャールズはウルヴァリンにとっては唯一の家族同然。放ってはおけないのだった。
すでにここまで見ただけで、以前のⅩ-メンシリーズにはない、現実と向き合うミュータント達の姿に心が痛む。そんな中、ウルヴァリンの前に現れたのがローラだった。
彼女はウルヴァリンの遺伝子から作られたクローンであり、彼と同じ能力を持っていた。ミュータントを生物兵器として利用しようとする悪の組織から逃げてきた彼女。その可愛いらしい容姿に似合わず、全盛期のウルヴァリンを彷彿とさせるような身体能力と、残虐性の持ち主であった。
容赦なく鋭い爪で敵を切り刻む。なぜ本作がR-15指定なのかすぐ分かるほど、その戦いぶりたるや否や凄まじい。いとも簡単に人間はバラバラにされ、生首は飛ぶし、血は吹き荒れる。中盤ではウルヴァリンの遺伝子から作られた完全なクローン「もう一人のウルヴァリン」が登場し、ウルヴァリンVSウルヴァリンの戦いも見られる。
そんなアクションの要素ももちろん強いが、見どころはやはりそのストーリー。
ウルヴァリンとチャールズ、そしてローラの三人は悪の組織から逃げ、安全な地「エデン」を目指す。その渦中の中で芽生える三人の絆。それぞれが迎える衝撃のラストと、別れのシーンは涙なくしては見られない。ぜひ映画館でウルヴァリンの最後を見届けて欲しい。
PEKO
おススメ度☆☆☆