「いま、中国で日本文学ブームが起きています」(鎌倉千秋キャスター)
近年、中国で出版される文学作品は年々、増加し、年間2000タイトルにも上るという。
「村上春樹さんのほかに、『失楽園』の渡辺淳一さん。東野圭吾さんや京極夏彦さんら、特定のジャンルに限らず、幅広く人気を集めている」(日本文学の中国語翻訳などを手がける毛丹青・神戸国際大学教授)
こうした日本文学をよく読んでいるのが「90后(ジョウリンホウ)」と呼ばれる1990年代生まれの10代、20代の若者だという。
又吉直樹「火花」すでに2万部発行
そして芸人で作家の又吉直樹さんもいま、中国の若者に熱狂的な支持を受けているそうだ。不器用で社会になじめない芸人志望の若者たちを描いた小説「火花」は今月初旬、中国でも発売されたという。外国文学は通常、初版5000部程度のところ、「火花」は2万部、発行。すでに増刷も検討されているという。
今月中旬、又吉さんは中国の出版社からの招待で、上海を訪問。書店でのトークライブには120人ものファンが集まったという。この書店では100冊が予約で売り切れたそうだ。上海杉達学院大学では、日本語学科40人の学生と交流。質疑応答を行い、熱心な学生から次々と質問を受けて、その熱気に圧倒されたという。
「『火花』の世界観は、中国の若者たちにどう響いたのか」(番組ナレーション)
「『火花』の主人公は夢をかなえられないけれど、前向きなメッセージを感じます。深い絶望のふちから、はい出せる気がした」(将来への不安や失恋で落ち込んでいたときに「火花」を読んだという学生)
「子供の頃、普通やと思ってた大人になるのが、むちゃむちゃむずかしい時代ですよね」
「国が変われば違うのかなって思いすぎてるところがある。文学みたいなものを通すと、すごく距離は縮まると感じました」(又吉・今回の旅を振りかえってのコメント)