<昼顔>
不倫ドラマから3年後のふたり 「教訓」も「救い」も感じない結末

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(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS24社

   平凡な主婦・紗和(上戸彩)が、ひょんなことから高校教師である裕一郎(斉藤工)と出会い、互いに既婚であったが惹かれあい、一線を越え、互いの婚約者や世間に明るみになり紗和と裕一郎は離れ離れになっていく――。2014年に放送され、大ブームを巻き起こし社会現象となったドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち』。本作は、その3年後を描いた続編となっており、脚本の井上由美子、監督の西谷弘がドラマ版から続投している。

   家族も仕事も失った紗和はひっそりと海辺の街で暮らしている。紗和とは遠く離れた場所で、妻・乃里子(伊藤歩)と暮らす裕一郎。紗和と裕一郎が再開を果たさなければドラマに成りえない。また、その密会を第三者が目撃しないとドラマは動かない。ホタルの生態に関する講義を行うためある街を訪れることになった――そこが紗和の暮らす街で、二人は密会するようになっていく――起承転結における「起」「承」部分のお約束感はドラマ版のファンならば享受できるだろう。「転」の部分が肝となるはずだが、拍子抜けするほどお約束感があり、本作がドラマ版ありきの正当な続編であることを確信する。ドラマ版を観ていない人にとっては極めてチープな展開であり、「不倫は怖い」としか思えないのではないか。ドラマの特別編で良かったのでは? と、思いつつも物語はラストへ向かう。「結」も、極めて安易な展開だが、ドラマ版のファンにとってはショッキングな展開になっている。

   ドラマ版が社会現象になるほどヒットしたのは、紗和の周りの目を気にしない堂々としたメンタルの強さと、裕一郎の真面目さが、不倫という暗いイメージを純愛に昇華しているからに違いない。不倫を「肯定」することが、視聴者に日常と非日常の狭間の中で甘美を与えたのだろう。だからこそ本作の結末は、賛否が分かれるかもしれない。筆者は「教訓」も「救い」も感じず、ヒットドラマの劇場版にありがちな形式に登場人物たちが呑まれた印象を持った。

   おススメ度☆☆

丸輪 太郎

採点:2
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