中学3年生の14歳。史上最年少でプロ棋士になった藤井聡太4段が昨日21日(2017年6月)、公式戦で28連勝を達成した。連勝記録の史上最多タイとなったのだが、デビューから負けなしというのは前例がない。いったいどこまで行くか。加藤一二三(ひふみ)九段は「33勝までは行く」というのだが......。
昨日、関西将棋会館で行われた対戦には、80人もの報道陣が詰めかけた。相手は澤田真吾六段(25)。藤井四段の20連勝目の時、一度負けている。これを踏まえての対戦だった。序盤やや受け(守り)に回っていた藤井四段が、食事の休憩の後一転、戦闘モードになった。
28連勝は、神谷広志八段(56)が1987年に達成して以来30年ぶり。神谷八段はその時26歳だった。それが、14歳に並ばれた。思いは複雑だ。
パソコンで対戦を追いながら、「抜かれたら寂しいなぁっていう気持ち。28で並んで次に負けてくれたらいいんですけど」という。
また、この日の解説は、「ひふみん」の愛称もある加藤一二三九段。藤井四段のデビューまで最年少記録保持者で、公式戦で最初の相手で、「最年少が最年長を破った」と話題になった。つまり、連勝の最初の相手という因縁山盛り。しかも前日、引退を発表したばかり。
そして開始から7時間、終盤の藤井四段の追い込みが勝負を決めた。「負けました」と澤田六段。午後4時46分だった。
「天才そうちゃん」と加藤九段
ひふみんは、「意気が上がって、ルンルン気分ですね。鮮やかな勝ちっぷり。勝負の内容を見ていると、連勝にストップかける人がいないような気がしてきた」という。「あと5勝、33連勝までは行く」と。さらに今朝の「めざましテレビ」では、「天才そうちゃん」というニックネームを与えていた。
当の本人、藤井四段はむしろ淡々。「ここまで連勝できるとは、夢にも思わなかった。本当に運が良かった」と普通の言葉だった。
司会の小倉智昭「30年前の神谷八段は、26歳だった。藤井四段はデビューからだから、とてつもない強さということになる」
平野早苗レポーターが「彼は14歳ですからね」と連勝記録を解説。20連勝以上は、藤井四段を入れても6人しかいない。これで28連勝は2人、24連勝が丸山忠久九段、22連勝に羽生善治三冠ら3人。八段九段ばかりの中にひとり四段が加わったわけだ。
為末大「がっぷり組んだ時どんな感じなんだろう。彼の世代は、ネットで棋譜が追える世代。対局した人たちの話を聞きたい」
28連勝の後、神谷八段は、「将来のスーパースターと一瞬でも肩を並べることができて光栄です」とコメント。羽生三冠も、「驚嘆の一語」といった。
小倉「羽生さんが負けた時(非公式戦)、大変な人が出てきたとおっしゃってましたからね」
さらに「とくダネ」は、この連勝で負けた棋士2人の声を聞いた。浦野真彦八段(53)と大橋貴洸四段(24)はいずれも、まだ連勝が話題になる前の頃、ともに2度負けていた。藤井四段の強さの秘密を、「不思議な力」という。「集中の時間が長い」「決めに行ったら、罠だったとか」「形勢が悪くなっても、プレッシャーを与える」「ミスを誘うようなプレッシャー」「彼は邪念がない。勝ったら賞金はいくらだとか......」
小倉「谷川名人と対戦した時、負けになったら、将棋盤抱えて泣いちゃったという。すごい子だと思ったと」
藤井四段はこの後、26日に竜王戦の決勝トーナメントの初戦。相手は増田康宏四段(19)。さらに勝ち進むと5戦目に、羽生三冠らのグループ勝者とぶつかる。そうなったら面白いが、その対戦料、賞金の話になったら、為末「陸上の10倍以上だなぁ」に爆笑。