通常国会を振り返って、安倍首相が昨日19日(2017年6月)午後6時から記者会見をした。冒頭3分ほどは、「政策とは関係のない議論に終始した」などと反省を口にしたが、よくよく聞けば、「野党の質問に問題があった」と言っているようなもの。内閣支持率急落でやや低姿勢だが、手前味噌の安倍節は健在だった。
今国会を総括して、「建設的議論からは大きくかけ離れた批判の応酬に終始し、政策とは関係のない議論ばかりに多くの時間が割かれ、国民の皆様に大変申し訳なく感じております」「印象操作のような議論に対してつい強い口調で反論してしまう、私の姿勢が、結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省しております」と神妙な姿勢だった。
終盤の焦点だった国家戦略特区の獣医学部新設問題では、「(加計文書の確認が)二転三転した形となり、長い時間がかかった。こうした対応が政府への不信を招いたことは、率直に認めなければなりません」
政府の説明で十分と思わない8割
FNNの世論調査(17日)では、「総理のご意向」文書での政府の説明は十分と思うか? との問いに、「思わない」が84.8%、「思う」は10.4%だった。
この文書に政府は、はじめ「怪文書だ」(菅官房長官)、「確認できない」(文科省)と無視の構えだったが、前川喜平・前文科次官が「文科省の文書だ」と確認したため、再度の調査で見つかったのだった。
この中に、獣医学部新設の要件として、加計学園だけが該当するような「加筆」が見つかり、加計理事長が、首相の長年の友人だったことで、またしても「忖度」の疑いが強まった。
しかし安倍氏は国会で、「彼(加計理事長)は私の友人ですよ。会食もゴルフもします。でも、この問題について彼から頼まれたことはありません。ですから働きかけていません。働きかけて決めているのであれば、私、責任を取りますよ、当たり前じゃないですか」と言っていた。
昨日の会見では「専門家の育成、公務員獣医師の確保は喫緊の課題。決して屈しません。私が先頭に立ちドリルの刃となって」と、あくまで岩盤規制を打ち破る戦略の一つであると強調した。
これに早速、民進党の蓮舫代表が、「ドリルで穴を開けたら、突破できるのは総理のお友達だけ。そこが最大の問題なのにまだ言い続けるか」とやった。加計と森友学園で、「そば(かけ、もり)ゲート」とうまいことを言ったのがいる。昔なら、まず政権は倒れていただろうに、安倍政権はへっちゃらだ。
ただ、数字には出た。内閣支持率が47.6%、不支持42.9%。これはFNN調査で高い方だ。メディアによっては36%というものまであった。
安倍首相は最後に、「反省の上に立って、冷静にわかりやすく、一つひとつ丁寧に説明していきたい」と言った。国会での態度と全然違うことなぞ御構い無しだ。
小倉智昭「これを謝罪と見るか言い訳と見るか。今世論調査をやったら、数字が変わる?」
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「もう一段階下がると思う」と、フリップを出したら、「おわび風 肩すかし」とある。「おわび風ですか」「そう。いろいろ言葉は出てたが、本当におわびしてるのか、疑問点に答えたかというと、必ずしもそうではない」
「『印象操作に強い口調で反論した』というのがあった。だから国会が混乱したというのだが、印象操作した人いるんですかね。よく聞くと、『野党の問題があるんだよ』と言ってるような気がする。もっと疑問点に答えてもらいたかった」
ニュースデスクの笠井信輔「支持率急落は、国民が安倍政権の手法の行き過ぎに気づいた結果とも言えそう」
伊藤氏「過去支持率が大きく落ちたのは、安保法制と特定秘密保護法案の時。いずれも政策についてだったが、今回下落のかなりの部分は加計問題だと思う。政権の体質だとか、総理の姿勢に疑問符をつけた。だから、今後上がるかどうか」
小倉「直近の都議選に影響すると思う」
伊藤氏「自民党の中にもその見方は強い。中には、総理に応援演説来てほしくないとか、総理と並んだポスター外すとか。これまでとかなり様相が違う」
これを回復するために、内閣改造という見方もある。サプライズ人事もあるという。はて?