〈ピーチガール〉
2000年代・ガングロ女子高生の恋「胸キュン」シーンの大放出

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   W主演の二人のファンにはきっとたまらない、それ以外の観客にとっては別の意味で「たまらない」本作。次々封切りされる少女マンガ原作映画の中でも、漂う2000年代のノスタルジーが異色を放っていた。

   山本美月演じる安達モモは、焼けた肌と脱色した髪のせいで「遊んでる」と思われがちな高校一年生。中学時代に水泳に打ち込んでいたせいで、見た目がギャルっぽくなってしまったのだが、モモのことを良く知らずに怖がるクラスメートも多い。そんなモモが中学時代からずっと片想いしている相手のトージ(真剣佑)、モモにちょっかいを出してくるモテ王子・浬(伊野尾慧)。そして、モモの友達を装いながら、その恋路を邪魔することが生きがいとする、影のフィクサー・サエ(永野芽郁)が織りなす恋の一喜一憂がストーリーの主軸になっている。

   物語のアップダウンは極めて簡単。モモが男とうまく行きそうとみると、サエが現れては邪魔をして、人間関係をかく乱する。ただし、結局誤解は解ける。サエが抱えるさみしさだとか、浬が抱える家族へのコンプレックスだのでちょこちょこ緩急をつけてはいるが、基本はこの型を逸脱しない。

    そして、ふんだんにつぎ込まれる壁ドンにキスシーン、砂浜でじゃれ合う姿、制服での手つなぎダッシュ。「これが見たいんだろ」と言わんばかりの「胸キュン」カットの大放出だ。正直ストーリーなんてなくてもいいのだ、という思惑が見え見えなのが、もはや清々しい。

    そもそも、原作がヒットしたのは十年以上前。ギャルは美白が常識になってからはや数年。茶髪にガングロは、むしろ旧時代的。日焼けに茶髪=遊んでるって、いつの時代だよ!というツッコミを背負うのは本作の宿命である。

   山本美月の優しい顔立ちは、原作ヒロインの「怖い」「遊んでそう」というイメージとはどうしても相容れないし、チャライケメンのヒーロー・浬と伊野尾慧との溝も深い。伊野尾が女顔であることも勿論だが、まず体格が釣り合っていないのだ。辛うじて身長は山本美月より数センチ高いが、華奢すぎる骨格のせいもあり、ふたりが横並びになると「あれ?弟?」といった風情。そして、肌ツヤやいい意味で完成され、肉が削ぎ落とされた骨格は、しっかり実年齢の20代半ばのそれ......こ、高校生はちょっと厳しい......。

   しかし裏を返せば、ピーチガールが流行っていた頃の女子高生像を知っていて、かつギリギリ高校生役が通用するのもこの世代のキャストだけなのかも。劇中歌もYUKIの「ドラマチック」がキメシーンで延々流されることを思うと、本作の「ストーリーの古さ」「キャストの年齢層の高さ」「音楽の懐メロ感」はすべて、アラサー世代への当て書きに思えてきた。

   女子高生向け胸キュンラブストーリーとみせかけて、アラサー接待ムービーとは......肩すかしながら妙に納得感のいく後味となった。

おすすめ度☆☆

ばんぶぅ

  • ©2017「ピーチガール」製作委員会
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