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「疑わしきは罰せず」貫く大阪高裁裁判長・・・無罪判決・一審判決破棄を連発

   今週は週刊現代が気を吐いている。16年4月から現在までで、無罪判決と一審判決破棄を20件も出している大阪高裁裁判長がいるそうだ。福崎伸一郎裁判長、64歳。5月18日には業務上横領を無罪。11日には覚せい剤密輸を無罪。4月27日には公然わいせつを無罪にしている。昨年5月には、ガールズバーの経営者を絞殺し、死体を遺棄したとされた小松弘隆被告に対して、懲役14年とした一審判決を破棄して差し戻している。理由は「訴訟手続きに違反があり、審理も尽くされていない」というものだ。

   検察側はピリピリしているそうだ。福崎は東大法学部卒でエリート裁判官の道を歩んでいた。98年に東京高裁判事になり、担当したのがいわゆる「ロス疑惑」事件だった。一審で無期懲役だったのを、逆転無罪判決を出したのである。その後は「可もなく不可もない」裁判官人生を歩み、63歳で大阪高裁の裁判長になり、定年までわずかになって、自分の考えで判決を下そうと決断したのだろうか。

   最近、裁判員制度が開始され、一審の判決を尊重する姿勢を最高裁が打ち出して以来、逆転無罪判決が出しにくくなっているそうだ。それでは三審制度の意味がなくなってしまう。福崎裁判長の信念は「疑わしきは罰せず」という、至極もっともなものだ。日本の裁判の場合、検察が起訴したものは99%有罪になる。「推定有罪」から裁判が始まるからだ。

   こんな当たり前のことがなかなかできないとすれば、日本の裁判はおかしいといわざるを得ないが、それが現状である。福崎裁判長、あとわずかだが、信念を貫いてください。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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