裁判官はなぜ上ばかり見るのか?
もう1本週刊現代の記事。岩瀬達哉の裁判官追及連載、今回は裁判官はなぜ政府に逆らえないのかというテーマである。
上の顔色ばかり窺う裁判官が多く、出世することこそが人生の目的と考えている輩が多いことはよく知られている。
そのきっかけになったのは、札幌市郊外の長沼町に自衛隊のナイキ基地をつくることに反対して、住民が起こした行政訴訟だった。
札幌地裁民事1部の福島重雄裁判長(当時39歳)が、憲法違反の疑いがある自衛隊のために、保安林を伐採することは問題であり、保安林指定解除処分の執行を停止するという判断を下した。
しかし、この決定が国側に告知されるまでの間に、札幌地裁のトップであった平賀健太所長が、決定内容を変更するよう福島に圧力をかけ、書簡を届けていたのである。
この平賀書簡がマスコミに流れ(福島は今回のインタビューで、自分が流したと認めている)、それをきっかけに、第5代最高裁長官・石田和外のもと、政治的な立場を離れて平和と民主主義を守ろうと若い法律家が集まってつくった「青法協」に入っている裁判官への人事差別、いわゆる「ブルーパージ」が行われていくのだ。
福島は青法協の機関誌の編集責任者を務めていた。以来、福島も家庭裁判所へ異動させられ、そこに据え置かれた。かくして出世を望むなら上や政府のいうことを聞かなければならないという「不文律」ができたのである。