加計学園の獣医学部新設に関する「総理のご意向」メールが、文科省の10人の職員の名前入りで見つかり、昨日(2017年6月5日)の国会で激しい論議になった。が、松野博一文科相は再調査を拒否。ますます深まる疑惑に、自民党内からは「おごるな」という、安倍首脳部への警告もでてきた。
加計問題の核心になる、内閣府から文科省に伝えられたとする「総理のご意向」で、今度はメールが見つかった。今井雅人氏(民進党)が昨日の衆院予算委で追及した。内容は「官邸の最高レベルが言っている」とあり、10人の職員の名前があった。
しかし、調査を求めた今井氏に、文科省の役人は「同姓同名の職員はおります」と人を食った答え。かつての社会党なら、「ふざけるな!」と怒鳴っただろう。完全になめられている。松野文科相も、「出所、入手経路不明のものの調査は考えていない」と要求を拒否した。
安倍首相も、質問にはまともに答えず、「印象操作はやめなさい」などと繰り返す。菅義偉官房長官は、相変わらず「怪文書だ」との見解を変えず、「文書は文科省が作った本物だ」とした前川喜平・前事務次官の人格を否定するような言動を続けた。
司会の小倉智昭「自民党は逃げ切れると思ってるんでしょうか?」
政治アナリストの伊藤惇夫氏は、「逃げ切るしかない。今更あったとは言えない」という。「しかし、最初の文書も含めて、文科省から出たことは99%間違いない。その存在も否定、調査まで否定すると、隠蔽と取られても仕方がない」
ニュースデスクの笠井信輔が、国会論議の後、前川氏から菅官房長官発言への反論があったことを紹介。菅発言は事実誤認だとした。
官邸の2つの誤算
伊藤氏は、官邸には2つ誤算があったという。1つは、前川氏への個人攻撃が逆効果だったこと。「森友学園で籠池泰典氏を攻撃して、『怪しい人だ』という印象操作に成功していた。しかし前川氏は決定的に違った」「個人攻撃で本質を隠そうとしていると見えてしまう」
小倉「ああいう女性のいる店に行く人が信用できないという、あのいい方であれば、世の中の男性は信用できない人がいっぱい」
伊藤氏「75%くらいは」(笑)
もう1つの誤算が、総理の初期対応だという。「李下に冠を正さず、でいけばよかった。加計氏との友人関係で、忖度があったのなら私の責任だと、はっきり言っていれば、こういうことにはならなかった」
「あいうえお」総理に贈りたい
そして昨日、とうとう自民党内からも声が上がった。中谷元・元防衛相が会合で、「もりそば(森友学園)、かけそば(加計学園)、忖度したのかという問題があるが、しっかり政府が答えを出して証明すべきだ。安倍総理に『あいうえお』の5文字を贈りたい」として並べた。
「あせらずに いばらずに うかれずに えこひいきせずに おごらず」。えこひいき、おごらず、あたりはなかなかだ。
小倉「もりそば、かけそばとは、うまいことを言う」
伊藤「党内で小さな地殻変動がある。憲法改正にも異論が出始めている。アベノミクスの検証をする勉強会がある。アベノミクス批判ですが、これに60人が参加している。安倍さん、驕ってんじゃないのという空気がある」
小倉「国会の論戦も噛み合ってない」
伊藤「総理は、質問に答えず、反らすことが多い」「民進党も迫力がない。総理と加計氏が親しいから怪しい、ではなくて、行政に不正があったのかどうか、本質で迫るべきだ」という。
例としてあげたのが、国家戦略特区の諮問委がつけた「広域的な空白地帯」という条件。これによって、京都産業大学の申請を実質的に封じている。「誰が決めたのか」。そういう攻め方ならば、見ていてもわかりやすい。