レイプ被害にあった女性が、顔と名前をさらして、加害者の不起訴は不当だと検察審査会に不服申し立てをした一件は、国会でも取り上げられた。男性が安倍首相と近しいジャーナリストだったこと、警察署の逮捕状の執行を警視庁が止めたなど、奇妙なことがあるからだ。その女性が「とくダネ!」のインタビューに応じた。
先週記者会見を開いたのは、フリージャーナリストの詩織さん(28)。2015年に、当時TBSワシントン支局長だった山口敬之氏(51)と会った際、酒で意識をなくし、ホテルへ連れ込まれてレイプされた。高輪署へ被害届を出し、同署は逮捕状をとったが、執行はされなかった。警察官は「上からの指示だ」といった。
その後山口氏は、準強姦罪(女性の意識がない状態)容疑で送検されたが、東京地検は昨年7月証拠不十分で不起訴とした。詩織さんが不服を申し立てた主な理由は、警察の動きが奇妙だったこと。そして山口氏が、「法に触れることは一切していない」「不起訴になっている」「逮捕も起訴もされていない」と言っていることに納得がいかないことだという。
この件は、性犯罪の厳罰化を盛り込んだ「刑法改正案」を審議する国会の論議でも取り上げられた。
性犯罪に対する社会のシステムを問いたい
ニュースデスクの笠井信輔のインタビューに詩織さんは訴えた。
「家族も苦しくなるんですけど......」「(検察からは)よくある話。難しいからやめなさいといわれた」「被害者だからという。被害者は何も間違っていない。おかしいことはおかしいと声をあげられる社会にしていかないといけない」
笠井「性犯罪に対応する社会のシステムが、これではいけないと、それを話したくて、顔を出しているんですという」
詩織さんによると、防犯カメラには、ホテルのロビーを、山口氏に引きずられ、抱きかかえられている自分が写っていた。そして、意思に反した性行為が行われたという。
司会の小倉智昭「目撃者がいない事件だから、難しいですよね」
石戸奈々子(デジタルえほん作家)「合意があったのかなかったのかは、第三者にはわからない。しかし、顔と名前を出す勇気は、社会に対する問題提起だと思う」
笠井「検察からは、目撃者がいるか、ビデオなどがない限り難しいと言われたという。しかし、準強姦というのは意識のない状態だから、法曹関係者からは、検察官の説明はおかしいという指摘もある」
小倉「政治的判断があったのかどうか」