世界卓球選手権(ドイツ・デュッセルドルフ)で、日本勢のメダルが続いている。金、銀、銅、どれも48年ぶりというから驚く。日本が伸びたのか、常勝の王者中国が落ち目なのか。東京五輪に向けて、話が面白くなってきた。
男子シングルスの彗星、13歳の張本智和選手は、2回戦でリオ五輪銅メダルの水谷隼選手(27)を破って、さらに8強にまで勝ち進んでいた。史上最年少記録だ。そして準々決勝はこの日、日本時間の5日午前3時すぎから行われた。
対戦相手は中国の世界ランク3位、27歳の選手。歳の差14歳。堂々と対戦して、随所で例の雄叫び「チョレイ」を連発したのだが、結果は1-4で敗れ、メダルには届かなかった。しかし、試合後「悔しいです。自分を成長させてくれた最高の舞台だった。あと3年しかないけど(東京五輪)成長は早いと思います」と、これが中学生かというようなコメント。
これも今日未明に行われた男子ダブルス決勝に進んだのは、森薗政崇選手(22)、大島祐哉選手(23)。一昨年の世界選手権では準々決勝で敗れ、メダルを逃していた。日本の決勝進出は48年ぶりだ。
だが、中国のペアは、ランキングの2位と3位の選手だった。善戦したが及ばず、1-4で負け。森薗選手は「チャンスだっただけに非常に悔しい。でもメダルを獲得できたので胸を張って帰りたい」と言っていた。
この大会でメダルのトップを切ったのは、女子シングルスの平野美宇選手(17)だ。先のアジア選手権で並み居る中国のトップ選手を総なめにして優勝。今回も期待されたが、準決勝で中国選手に敗れ、銅メダルに終わった。おかしなもので、これも48年ぶりの快挙だったのだが、金を逃したからか、報道は控えめだった。
金メダルは、男女混合ダブルスの石川佳純選手(24)、吉村真晴選手(23)が獲った。リオ五輪の団体でのメダリストのペア。中国ペアに対して、4ゲームを終えた時点で1-3で負けていたが、ここから息を合わせて盛り返し、イーブンに持ち込む。さらに1ゲームは最後、石川のスマッシュが決めた。
女子ダブルスもメダル確定
他にも、男子ダブルスの吉村真晴(23)、丹羽孝希(22)ペアが銅メダル。女子ダブルスは、早田ひな(16)、伊藤美誠(16)ペアが決勝進出で、メダル確定という状況だ。
「アンビリーバボー」(石川)、「アイムソーハピー」(吉村)--何もかも48年ぶりなのだが、改めて、その長い道のりに思いをはせる。
小倉智昭「勢いというのがありますかね」
夏野剛「日本のスポーツ界の指導が変わった。張本選手がエリート・アカデミーという話があったが、昔はボトムアップで全体のレベルを上げる仕方でやってきたのが、今は突き抜けた選手をいかに引っ張り上げるか、になった」
若手で注目は女子の平野、早田、伊藤。3人とも2000年生まれ、東京五輪の時20歳。ライバル関係が、レベルアップの重要な要因だという。突き抜けた選手も数があったほうが......ということか。
ところで、「チョレイ」ってなんだぁ?