安倍首相の親友が理事長を務める「加計学園」の獣医学部新設について、内閣府から文科省に「総理のご意向」があったとされる文書疑惑に、昨日(2017年5月29日)の参院本会議で安倍首相が反論した。前川・前文科次官が「文書はあった」と認めたのに対し、「確認できなかった」と真っ向から否定した。
安倍首相は、「(獣医学部の設置は)関係法令に基づき適切に処理しており、圧力が働いたことは一切ありません」と否定。議場からは、「加計学園だよ」「適切か」「じゃあなんで隠すんだ」などのヤジが飛んだ。
朝日新聞と民進党が公開した「総理のご意向」文書は、前川喜平・前文科次官が会見で「文書は確実に存在していた。あったものをなかったことにはできない」と確認したのだが、首相はサミット出席中。昨日が初の反論となった。
本会議では民進党が、前川氏の証人喚問による「疑惑を解明」を求めたが、安倍首相は薄ら笑いを浮かべて、余裕たっぷり。「文科省で調査したが、文書は確認できなかった」として、証人喚問も「国会が決める事」と多数与党による拒否を示唆した。さらに、「民主党政権においてもご苦労された」と皮肉った。
これは、09年から12年まで政権の座にあった民主党が、「規制緩和」として加計学園の獣医学部新設を後押しした事があった事実を踏まえたもの。首相は「規制改革に抵抗はつきもの。安倍内閣はいかなる抵抗勢力にも屈しない」と一般論にすり替えた。
「総理は言えないから私が言う」と首相補佐官
司会の羽鳥慎一「この問題で初めて反論したのですが、今朝の朝日新聞は新たな証言を伝えています」
朝日の記事(30日付)は、前川・前次官の追加の証言で、これによると昨年9月上旬、和泉洋人・首相補佐官から「総理は言えないから私が言う」と、獣医学部の新設を認める規制改革を早く進めるよう促したというものだ。和泉総理補佐官は「(前川氏との)面会は確認できない。総理からの指示はない」と答えた。
昨日、前川氏と会ったという青木理(ジャーナリスト)は、「前川さんは、行政が歪められたことへの疑問と、あるものをないと言われた憤りを繰り返しおっしゃってた。素直な正義感を感じた」と言った。
羽鳥「『総理は自分の口から言えないから私が代わっていう』と言われた点」
青木「彼の記憶と資料に基づく事実なんでしょう。文科省は、官邸は加計学園をやれと言っている、という共通認識を持っていた」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「民主党を引き合いに出したが、民主党に『お友達』がいたわけじゃない。(首相は)岩盤規制を変えさせた、という話にしようとしているが、本質はそこじゃない。総理の仲がいい人のために行政が歪められたんじゃないかという点が本質」
青木「前川さんも、規制緩和の必要はわかっている。ただ、手続き的におかしいんじゃないかということ。それに、岩盤突破で利益を得るのが首相のお友達というのは、誰が考えてもおかしい。むしろそういう人を排除するくらいでないと岩盤規制突破なんて言えない」
玉川「李下に冠を正さずですよ」
しかもその後、申請条件を変えて、加計学園だけが申請基準を満たすことにしている。李に手を伸ばしちゃってる?