今期のテレ朝は、水曜よる8時「警視庁捜査一課9係」、木曜よる8時「警視庁・捜査一課長」、続けてよる9時「緊急取調室」と、鉄壁の警察ドラマシフトを敷いている。
警察ドラマは一定のファンがおり、視聴率が見込める優良コンテンツ。実際、中盤を迎えた今期のドラマを見ても、TBS「小さな巨人」フジテレビ「CRISIS」、など好調なのは警察ドラマばかり。テレ朝の人気シリーズ「9係」も、主演の渡瀬恒彦が放送直前に亡くなるというハプニングに見舞われ、加納係長はどうなるんだ、と心配だったが、初回の冒頭で登場。内閣テロ対策室改造のアドバイザーを拝命し、そちらの仕事が忙しくなったという設定だった。その初回視聴率11.5%、途中、ヒトケタ台の回もあったが、6話では13.7%とV字回復している。2時間続けて警察モノって、さすがにどうなの? と思った木曜日も、相乗効果でお互いフタケタ視聴率(『捜査一課長』は1度だけヒトケタに沈んだが)を獲得し、テレ朝の目論見は見事に当たった。2時間ドラマミステリーが終了し、あぶれてしまった客をちゃんと取り込む受け皿を用意するとは、さすがテレ朝!
凶悪犯との心理戦見もの
その3作品のなかで、私のお気に入りはなんといっても「緊急取調室」。第1シリーズから3年。2016年5月の取り調べの録音録画(可視化)を義務付ける「刑事司法改革関連法案」の可決を経て、第2シリーズが復活。可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班」、通称キントリと凶悪犯たちの心理戦が見ものだ。
「BOSS」といい、この「キントリ」といい、天海祐希はこういう男気のある役柄がぴったり。さすが元宝塚の男役トップスターというだけあって、とにかくカッコイイ、女が惚れる女を魅せてくれる。その天海を囲むように、田中哲司、大杉漣、小日向文世、でんでんのおっさん度が高い「キントリ」チームと、対立するもつなべコンビ(鈴木浩介&速水もこみち)、そして、いつもはヘラヘラした役柄の多い大倉孝二が警視庁刑事部長という超エリートを超真面目に演じているのが面白い。
第1シリーズでは天海演じる真壁のプライベートも同時に描いていたが、今回はそれがなくなり、事件解決がメインになりスッキリ。そして、なにより、週替わりのゲストが豪華。初回の三田佳子は別格として、酒井美紀、矢田亜希子と懐かしい顔が見られるのも嬉しい。次回(第6話)は鶴田真由が出演する。
警察ドラマは連ドラでありながら、1話完結なので、見逃しても大丈夫。見られる時に見ればいいので気が楽。とはいえ、そこには、犯人や事件の裏に見え隠れする人間の悲しみや業も描かれているので、考えさせられることも多い。そういうところも魅力のひとつ。なんたって、第2シーズンのテーマは「普通の人間が一番怖い」ですから。脚本・井上由美子。(木曜よる10時~)
くろうさぎ