文科省文書の真偽はどうなのか? 今治の獣医学部新設は「総理の意向」メモ

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   今治の「岡山理科大獣医学部」新設は「総理の意向」とする文科省のものとみられるメモを朝日新聞が報じた。安倍首相と学校法人「加計学園」理事長との特別な関係をうかがわせるものでもあった。菅官房長官は「怪文書」と切り捨てたが、メモの内容を認める人も出てきた。民進党は徹底追及の構えだ。

   この文書は、現在今治市に建設中の「岡山理科大獣医学部」の認可に関わるもので、文科省内部に共有させるメモの形になっている。

   8ページにわたるが、核心は、「平成30年開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」「官邸の最高レベルが言っていること。文科省がメインで動かないといけない」「総理の意向」という部分だ。

   要するに、「総理の意向だから、来年の開学にまにあわせろ」という指示。出所は不明だが、文科省の関係者しか書けない内容だ。朝日の報道では2つあって、日付のあるものとないものがある。

   岡山理科大獣医学部は、岡山に本部がある加計学園が、今治市、愛媛県の援助を受けて来年4月オープン予定で建設中。学生160人、教員70人で、獣医学部としては国内最大級となるが、獣医学部の新設は52年ぶりだ。

国家戦略特区で認可

   しかし、この開設認可をめぐっては、文書と符合する諸々がある。まず、同学園は、2007年から12年にかけて、15回申請しているが、いずれも不採用だった。獣医学は16大学に定員930人で充足している、という農水省の判断が元だ。それが今年1月、突然認可された。昨年末、安倍政権が打ち出した国家戦略特区構想による決定だった。

   安倍首相と加計学園の加計幸太郎理事長との関係も言われる。2人は、30年来の親友。南カリフォルニア大学に学んでいた時からという。2人はしばしばゴルフや会食をしており、14年の千葉科学大(銚子)の卒業式では、安倍首相がスピーチしていた。

   加計学園は、大学3つをはじめ、高校から幼稚園までを持つ教育法人だが、そのうちの御影インターナショナルこども園(兵庫)の名誉園長は、安倍昭恵夫人だ。今治問題でいうと、国家戦略特区の設定が、加計学園を後押ししているように見える。今治市は、約37億円と言われる敷地を無償で提供している。地元では、「町おこしにはなるが、森友の二の舞にならなければいいが」といっている。

   この「特区」について、元文部官僚の寺脇研氏は、「魔法の杖のようなもの。これは特別ね、で通っちゃう」という。学部の新設では、獣医学部については農水省、医学部なら厚生労働省が、必要数を判断して、それを元に文科省が決める。52年間「新設の要なし」としていたのをひっくり返すには、特区が必要だったと。確かに問題文書は、その筋書きをうかがわせる。

   問題は、これが本物かどうかだ。朝日新聞は、文科省関係者が「昨年9~10月に作った」ことを認めた、としているが、文科省は「見つからない」。テレビ朝日政治部デスクの細川隆三は、「文書が2つある。打ち直されている可能性もある」という。

   しかし、メモに名前が出てくる、元自民党議員北村直人氏は、メモの内容を「自分に関する部分はおおむねその通り」と認めた。北村氏ら名前の出た人たちは、獣医師関係者で、学部新設には反対の立場だという。ますます、信憑性はますが、官邸は完全否定だと細川は言う。

   文書には、石破茂氏、山本国家戦力特区担当相、麻生財務省の名前も出てくるが、中には「〇〇補佐官」などと、実在しない肩書きが出てもくる。寺脇氏は「走り書きだと、書き間違いもある。メモは日常のもの」という。

   寺脇氏は「文科省が52年間も守ってきけど、もう新設なんだよと(内閣府が)圧力をかけている。で、反対派の人たち、愛媛の人はこうだよと、記している、そういう文書」という。では本物だということか。

   民進党は徹底して追及するという人たちがいる一方で、かつての偽メール事件などから慎重な人たちもいるという。

   玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「どっちにしても重い。間違ってたら民進党に重いし、本当なら政府に重い」

   司会の羽鳥慎一「まずは真偽の確認。これが真相解明につながるのか」

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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