舛添問題からベッキーの「ゲス不倫」に至る数々のスクープで知られる週刊文春に、週刊新潮が噛みついた。他紙のスクープを汚い手口で盗み出していたという証拠を、写真付きで報じたのだ。珍しいし面白い。これでバトルが始まるのか。決め手はやはりスクープだろうが......。
週刊新潮は今日(2017年5月18日)発売の5月25日号で「文春砲、汚れた銃弾」と、歴史に残る週刊文春の「ロス疑惑事件」をもじった見出しで、週刊文春の手口を暴いた。週刊文春が、週刊新潮のスクープ記事を、発売前に入手していたというのだ。
大きく見開きで3枚の写真が載っている。コンビニのコピー機で何かをコピーしている男。その一枚に、コピーしているモノが写っていた。週刊新潮の電車の中吊り広告だ。男性は文藝春秋の営業部員。出版の取次業者から入手したものだった。動かぬ証拠だ。
新潮社の伊藤幸人・広報担当取締役は、「スクープがスクープでなくなってしまう。中吊り広告は情報そのものです。それがライバル会社に流出してしまうのは、まず聞いたことがない」という。
きっかけは、従軍慰安婦問題での誤報で、池上彰氏が朝日新聞への連載を一時中止した問題(2014年)。週刊新潮のスクープだったのだが、なぜかデジタル週刊文春がスクープ速報として出た。その後も週刊新潮のスクープに週刊文春が並ぶということが続き、どこからか情報が漏れている、と探索が始まった。たどり着いたのが、電車の中吊り広告だった。
情報漏れの元を執念で突き止めた
昨年5月頃から本格調査が始まった。週刊文春も週刊新潮も発売日は木曜日。記事の締め切りは、火曜日の午後10時。中吊り広告が刷りあがるのは、その日の朝だ。これを週刊文春が入手するのが午後4時、記事の締め切りまでは6時間ある。ここで週刊新潮のスクープを知れば、追いかけるには十分。間に合わなくても、発売前日の水曜日に、デジタルで配信すれば、これも立派なスクープになる。
一方、中吊り広告は1万枚~2万枚印刷する。この大半は各鉄道会社に送られる。週刊新潮は、鉄道各社への配布の日をずらしたり、送らなかったりと試した。しかし週刊文春には依然情報が抜けている。
残りは、全国の書店などに送られるごく少数、100枚か200枚を扱っている取次業者だ。ここに水曜日に出したところ、文春が同じにはなっていなかった。「漏れ」はここだとにらんで張込みをした結果が、問題の写真だったというわけだ。
文藝春秋は、「モーニングショー」の取材に、「情報収集の過程についてはお答えしておりません。不正や盗用は一切ありません」とだけだった。が、取次業者の方は、「週刊新潮の中吊り広告を、弊社の社員が文藝春秋の社員に貸したという事実を確認した。情報の取り扱いに配慮すべきだった」とコメントした。
ルールはなかったという。野上慎平アナは「誰もそんなことしないだろうということで」という。
司会の羽鳥慎一「大変なんですね、情報合戦というのは」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「新聞も大変ですよ。特落ちだ、追っかけだと」 「テレビに写って喋ってる人にはわからないかもしれないね。」
羽鳥「コピーの写真は切ないね」
玉川「先に出すと、売り上げにも大きく響く」
週刊誌というのは、案外ナイーブ。新聞の内実を聞いたら、きっと驚くだろう。