国有地の異常な安値払い下げをめぐって、大阪・森友学園の籠池泰典・前理事長が昨日(2017年5月16日)、民進党のヒアリングで、問題の土地にゴミはあまりなかったとする、関係者のファクスを明らかにした。あくまで籠池氏の話だが、もし事実なら、財務省は安値払い下げの根拠を失う。
この日籠池氏が提出したのは、昨年4月、財務省との交渉を受け持っていた顧問弁護士と設計業者がやり取りしたメールの記録だ。これは同3月に、籠池氏が財務省の幹部に「ゴミが出てきた」と文句をつけた後の時点になる。
●設計事務所から4月8日づけで、「約3メートル以深には廃棄物がないことを証明しております」とある。
●4月10日、弁護士から返信。「柱状図(ボーリング調査結果)の提出はやめましょうか」
●同日、設計事務所から弁護士へ。「今回工事に関わるボーリング調査に関する資料は抹消いたしました」
国は最大で9.9メートルまでゴミが埋まっているとして、約8億円の値引きの根拠としていた。それがなかったという。しかも、資料の提出もしていない。「ゴミ混入率が47.1%」という値引きの根拠はどこから来たのか。
民進党の玉木雄一郎・衆議院議員は、「3メートルより深いところにゴミがないとなると、これまでの国会答弁が全部くつがえりますね」と言った。
籠池氏は「メールの意味するところがあまりにも意外にすぎ、私も理解できておりません。とりわけ業者側から説明を受けておりました『地中深くのゴミの存在を否定するようなやり取り』が残っているなど、私にも驚き。自分は蚊帳の外に置かれていたんだなと思わざるをえません」と、弁護士に一任していたので、自分は把握していなかったと主張した。
不可解な近畿財務局のメール
また、4月1日に近畿財務局から森友学園へのメールは、「いつもお世話になります。瑞穂の国記念小学院開校に向けご協力いただきありがとうございます」とあった。
民進党の風間直樹・参議院議員が「いつの間にか近畿財務局が皆さんに対して『開校に向け力を貸してくれてありがとう』と言っている。なんでこうなった?」と聞いた。籠池氏は、「安倍昭恵夫人が私どもの小学院の名誉校長になられた後ということになりますしね。ご意向がここまで伝わったかという感じですね」と答えた。
民進党ははじめ、財務省、国交省に同席を求めたのだったが、両省はこれを拒否。籠池氏の後、別個に質問を受けた。直に対面してのやり取りでは、危ないという判断とみられる。籠池氏は「真実究明に協力されない財務省の姿勢は残念といわざるをえない」といった。
籠池氏と入れ替わりにヒアリングに答えた国交相担当者は「9.9メートルの地点にゴミがあるということを、目では確認できないが、いろんな状況証拠を総合すると、ゴミが出たと判断できるということで、積算を根拠にしている」と答えた。
民進党はメールが事実なら、調査不足が8億円の値引きにつながったとみて、さらに追及する方針だ。
司会の羽鳥慎一「メールが事実ならばというのが前提だが、大変なことですね」
野上慎平アナ「もしこれが事実なら、大前提が覆っちゃう。ゴミがあったから値引きが......」
羽鳥「ゴミがなかったと」
浜田敬子(元アエラ編集長)「財務省は調査をしていない。それと、籠池さんが知らなかったというのも、腑に落ちない」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「一番ありえないのは、近畿財務局が、『小学校開校にご協力いただき、ありがとうございます』というメールを送っていること。開校するのは籠池さんで、財務省は認めるか認めないかのはず。もう一つ、(土地を)売る側が自分で調査していないこと。いいようにやられていたことになる」
浜田「まずは、このメールが本物かどうか」
野上「あくまで籠池さんが話しているということ。弁護士や設計事務所にも聞く必要がある」
籠池氏は、「ゴミの存在を否定するようなやり取りが残っているなど、私にとってもこのメールは驚きでした」と言っているのだが......。