大統領当選を決めた文在寅(ムン・ジェイン)氏は、一夜明けた昨日(2017年5月10日)、直ちに大統領に就任した。朴槿恵(パク・クネ)・前大統領が弾劾で失職していたための異例の措置だ。直ちに閣僚人事も発表され、首相には知日派の李洛淵(イ・ナギョン)氏(64)を候補とした。日本には厳しい姿勢の文氏の意図は?
大統領就任式で文氏は、スピーチで、北朝鮮との緊張状態の解消と関係国との連携を強調した。「必要であればワシントンへも飛びます。北京や東京、条件が整えば平壌へも行きます。(北の)核問題を解決する土台も用意します」
午後には閣僚人事案を発表。注目の国務総理(首相)候補に「李洛淵・全羅南道知事」を指名して、「党の要職を歴任して政治経験が豊富。長い記者生活を通してバランス感覚もいい」とその理由を述べた。
ある意味では意外でもあった。文氏は選挙の前も最中も、対日姿勢は厳しかった。特に歴史問題では、先の従軍慰安婦問題での日韓合意を破棄するとまで言っていた。それが政権の中枢に知日派、というわけだ。
李氏は元東亜日報の東京特派員を務め、日本語も流暢に話す。国会議員になってからも、日韓議員の交流などで中心的な役割を果たしてきた。しかし、日本へのまなざしは決して甘くはないことでも知られる。
2001年、日本の歴史教科書が「事実を歪曲している」と是正を求めた時、当時国会議員だった李氏がテレビ朝日の取材に応じた時の映像があった。
日本語話すが厳しい姿勢も
「僕たちなりの真心で日本に忠告しようということなんです。これは韓日関係だけじゃなくて、日本とアジア諸国との関係、世界との関係にも影響を及ぼすでしょう。だから、内政干渉だとは思いません」とよどみない日本語で話していた。
また2011年の日本議員団の訪韓時には韓日議員連盟の副会長として、慰安婦問題で「(解決のため)日本の指導者の知恵と決断を期待します」と厳しい姿勢を見せていた。
AERAのインタビューに「日本人と仕事をすると、日本人の恐ろしさがわかる。いい加減さがない。徹底的にやる。そこらへんが怖いのです」とも言っていた。
司会の羽鳥慎一「これは褒めてるのかどうなのか」
高木美保(タレント)「玉川さんなんかそれ。徹底的にやるから怖い」(笑)
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「韓国から見れば。日本の国力の源泉はここにあるということでしょ」
この人事をどう読むか。共同通信の磐村和哉氏は、「とても温厚な人。日本政界に太いパイプがあり、潤滑油的な役割を担えるのでは」という。また、毎日新聞の鈴木琢磨氏は「知日派というだけでは判断が難しい。日本との関係維持のための人事」という。しかし、首相の仕事は対日関係だけではない、
羽鳥「知日と親日は違う?」
玉川「違うみたいです。親日と言うのは侮辱の言葉になるようですよ」
羽鳥「侮辱ですか。日本のことを知っている人が首相になった」
世界中どこでも、隣国とはギクシャクするものだが、日韓には歴史的な問題があるのだからなおさら。長い目で見る必要がありそうだ。