GW最終日の7日(2017年5月)、自宅庭先でバーベキューパーティー中の男性が、近所に住む男に突然「うるさい」と怒鳴られ刺殺される事件があった。普段から危険視されている人物に近隣住民はどう対処したらいいのかスタジオで探った。
事件のあったのは岐阜・瑞浪市。少年野球のコーチをしている会社員の大脇正人さん(32)が7日午後、試合に勝った子どもたちや保護者ら10人ほどで、庭先で祝勝会のバーベキューパーティーをしていたところ、近くの住む男(26)が「うるさい」と怒鳴り込んできた。
男はいったん姿を消したが、再び包丁を持って現れ、大脇さんの腹を刺したほか、男性(42)の腕に切りつけた。大脇さんは搬送先に病院で死亡が確認され、男性は腕に軽いケガを負った。
刺殺された大脇さんは妻と小学6年の息子、小学生に娘の4人家族。妻や子どもの見ている前で刺されたという。
一瞬の間に一家の大黒柱を失った惨劇に大脇さんの兄は「弟はコーチをしていた少年野球の午前中の試合に勝って、午後からバーベキューを楽しんでいた。バーベキューをしているだけで刺され殺されるなんてそんなことありますか?」と絶句する。
一方、刺した男は近所の住民に取り押さえられ、駆けつけた警察官に現行犯逮捕された。「刺したのは事実だが、殺意は持っていない」と話している。ただ警察では、男には不可解な言動もあり、刑事責任の有無を含め犯行の動機などを慎重に調べているという。
近所では日頃から警戒
実は、事件を聞いた近隣住民は「あ~やっぱり」とこんな話をする。「皆が同じことを言っている。『とうとうやったか』って」「やっぱりあいつか。誰かが刺されてもおかしくなかった。子どもが刺されるかも分からなかったんで心配していた」。
その近隣住民によると、男は、家族と20年前からここに居住。小学校の時から不登校で引きこもった生活をしていた。6~7年前に母親に刃物を向け警察が呼ばれた騒ぎがあり、その直後に母親は(男の)妹を連れて家を出ていったという。
以来父親と2人暮らしをしていたが、父親は単身赴任で週に一度帰ってくるだけ。いつもは一人で暮らしていた。しかも男は近所でちょっと音を出しただけで「うるさい」と怒鳴り込み、「何をされるかわからない」と近隣住民から恐れられていた。町内会や自治会で話し合ったこともあったが、「自分たちでは手の出しようがなかった」という。
では、住民に対処する方法はまったくないのか?
警察相談専用電話を利用して
犯罪心理学が専門の出口保行・東京未来大学教授はこんな指摘をする。
「迷惑行為なのか犯罪行為なのかは一般的な国民は判断がつかない。私たちが知っておくべき知識は何かというと、全国共通の警察相談専用電話(『#9110』)がある。自分の周囲で困ったことが起きている場合、気軽に相談できる。警察も相手に対し指導、警告、説得するというところまで動くことができる」
司会の加藤浩次は「バーベキューの声がうるさいとなったら何もできなくなってしまう。普通の光景ですよね」と憤る。元東大教授のロバート・キャンベルは「もし精神疾患があるあら医療機関で継続的な治療をさせるなどしなければいけなかった」という。
もっとも不可解なのは男の父親の対応。おかしな息子を何も手を打たずに野放しにしていたのか。近隣住民も父親との接点を持たなかったのか。番組の取材からは見えてこなかった。