体から出るものならなんでも探知
佐藤所長によると、「尿も呼気も汗でもがん患者の体から出るものはがんの臭いが含まれており探知できる。今のところほぼ100%で」という。
佐藤所長と共同研究している佐賀・伊万里有田共立病院の園田英人外科部長は「探知犬が臭いの中の物質の何に反応しているのかははっきりわかっていない」と話す。しかし、「ポリープに微量のがん細胞が混ざっているごく早期のがん患者でもがん探知犬は反応している」ことから、がんの早期発見も可能という。
がん探知犬は現在、胃がんや肺がん、大腸がんなど約30種のがんの存在を識別できるが、難点は、がん発症の場所まではわからない。「どこにあるかは横着しないで人間が調べてよ」というわけだ。
ただ国文学研究資料館のロバート・キャンベル館長によるとこんな指摘もある。
「欧米の研究者の中には、医療現場で応用するには限界があるという意見がある。研究室の中では100%でも、実際の医療現場の初期検査ではたくさんの検体を検査しなければいけないために、犬の性格としては続かない。グッと精度が落ちると言われている」
取材した西村綾子リポーターによると、このため現在5匹いるがん探知犬による検査は月に100件~200件が適度とされ抑えているという。
ビーちゃんを入れて日本にわずか5匹しかいないというのも心もとないが、この5匹はいずれも、ものすごく嗅覚の良いある犬の血を引いた貴重な犬たちという。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト