北朝鮮への対応を協議していた国連安保理外相級会合直後の29日(2017年4月)早朝、北朝鮮が弾道ミサイル1発を発射し数分後に爆発した。
これでこの1カ月半で4回のミサイル発射実験を行い、いずれも失敗したとみられている。番組では、4回連続失敗の意味について北朝鮮情勢に詳しいジャーナリストや軍事専門家の分析を取り上げた。浮かび上がってくるのは着実にミサイル技術を向上させる北朝鮮のしたたかさだ。
米メディアが伝えたところによると、今回、発射されたミサイルは海上の空母やイージス艦を直接狙って撃破する新型の中距離弾道ミサイル「KN-17」で、金日成生誕記念日の軍事パレードにも登場。射程1000キロ強と言われている。
折しもその射程距離内を米原子力空母「カール・ビンソン」が対馬海峡を抜け日本海を航行中で、これへの刺激を避けるかのように異例と言える北東へ向けて発射しており、なおさら不気味さを感じさせる。
北朝鮮はこれまで、3月22日東部の元山から1発発射し数秒後に爆発。4月4日にはやはり東部の新浦から中距離弾道ミサイルを発射し60キロ飛行し爆発、日本海に落下。金日成生誕記念日の翌日4月16日には同じ新浦から中距離弾道ミサイルを発射し直後に爆発している。
29日の発射を加えると4回連続発射し失敗したとみられる。その意味をどう捉えればいいのか?
西村金一氏(元自衛隊情報分析官で軍事アナリスト)は、「アメリカが軍事的に恫喝しているのに対し北朝鮮は『負けないぞ』と反発を見せている。失敗を重ねることによって新たな弾道ミサイルを開発している。本格的に取り組んでいるんだと思う」。
高英起・デイリーNKジャパン編集長は、「故意に爆発させたという可能性もある。直後に爆発させればアメリカは攻撃することはできない。アメリカの軍事攻撃を避けながらミサイルの発射実験を続けていることも十分ありうる」と見る。
米のサイバー攻撃説も
また、小原凡司氏(元海上自衛隊出身で東京財団研究員)は、「アメリカは様々な手段を通じて北朝鮮の挑発を止めようとしており、その中にはサイバー攻撃も含まる。ハッキングによってミサイルシステムに侵入し、自爆装置を操作したり燃料を過剰に燃焼させたりして爆発させる。米政府はこれまでもサイバー攻撃で敵対する国の活動を妨害したことを認めたことがある」。
コメンテーターの橋本五郎・読売新聞特別編集委員は「意図的な爆発かサイバー攻撃かわかりませんが、しかしその間に北朝鮮は一歩一歩先に進めていこうということを背後に秘めている。一番の問題は、こうした北朝鮮の動きに対し日本政府が何をするか。国民との信頼関係をつくるためにも、どういう状況下にあるかきちっと説明してほしい」。
失敗は成功のもとだけに北朝鮮の一挙手一投足は見逃せない段階にきている。避難場所として地下鉄の話が出ているが、地下鉄があるのは東京でいえば中心部だけ。万一の場合を考えると隙だらけだ。