ロシアに亡命しているアメリカの元CIA職員エドワード・スノーデン氏は、新たに国家安全保障局(NSA)の機密文書を公開し、日本に言及したものも13通あった。文書は2013年のもので、「日本の情報機関のサイバーセキュリティー技術は初期段階にある。NSAは日本の諜報活動支援にXKEYSCORE(エックスキースコア)など諜報プログラムを提供している」とある。
スノーデン氏は東京の横田基地で2年間ほど諜報活動をしていたことがあり、NHKのインタビューにも日本語を交えながら応じた。日本に対しては「一言いいたい」と言う。「日本は市民のプライバシーと自由を大切にしている素晴らしい国です。しかし、報道の自由度の順位は下がっている。知る権利が保障されて、初めて自由で開かれた社会といえるのです」
「日本政府は(プログラムを)知っているのでしょうか」という質問には、「それを暴露できる立場ではありません。発信はジャーナリスト次第です。いえるのは、素晴らしい質問だということ」と答えた。
メール、ネット閲覧、GPS、ATM利用・・・すべて丸裸
NSAの通信傍受拠点は世界に500か所あるという。世界中の海底ケーブル、ネット、個人電話、GPS、メール、ATM利用、ネット閲覧履歴などの情報が収集される(メタデータ)。大手インターネット企業からの情報もある(プリズム)。XKEYSCOREはスパイのGoogleと言われる強力な検索・データベースだ。個人名やキーワードを入力するとあらゆる情報が出てくる。さらに個人のパソコンやスマホにアクセスして、遠隔操作でカメラを起動させて盗撮、盗聴も可能といわれる。
NSAの元上級分析官、トーマス・ドレイク氏は「日本用に特別に組み替えたバージョンを提供しているはず。そこで得た情報は分析され、アメリカと共有される。これは同盟国の中で日本の立場がワンランク上がるということです」と話す。
NSAの技術部門のトップだったウイリアム・ビニー氏は「XKEYSCOREには光と影がある」という。「脅威となるターゲットのあらゆる情報をデータベースから引き出せます。このアクセスは日本にも利益になりますが、運用を誤ると際限のない監視につながり、民主主義を破壊しかねないウイルスになります。もう誰にもプライバシーはありません」