トヨタが負け組の転落する日・・・社内から聞こえてくる不協和音
週刊現代は4月1日付で発表されたトヨタの役員人事が「懲罰人事」だと社内で問題になっていると報じている。牟田弘文専務役員が退任して子会社の日野自動車へ行き副社長に就くのだが、社長には牟田の下だった下義生常務が抜擢されたのだ。日野自動車社長は代々トヨタの専務経験者が就くポストだから、豊田章男社長の逆鱗に触れた牟田に対する懲罰人事だといわれているそうだ。
だが、何が逆鱗に触れたのかというと、よくわからない。15年8月に起こった中国・天津市の爆発事故の際、現場近くのトヨタの合弁工場の従業員50人ぐらいが負傷し、生産が10日間近く止まってしまった。そのとき、豊田社長は現地に入って陣頭指揮をとるいい出したが、牟田が現場が混乱していて受け入れる余裕がないのでと引き留めたというのである。部下としては当然の進言ではないのか。
16年にトヨタが導入したカンパニー制にも「トヨタの強みが失われる」と主張して最後まで反対したという。そうしたことに腹を立てた豊田社長が、牟田を含めた生産技術部門全体を「抵抗勢力」とみなし、関係者を放逐し始めたそうだ。その一方で、社長と仲良しには厚遇する人事を始めたというから、社内から不満の声が起こるのは致し方ないのかもしれない。
それだけではなく、電気自動車(EV)への取り組みが遅れたのは、社内で意見をいうと社長に悪く思われはしないかという「忖度」が働いたからだという。
これをレポートしているジャーナリスト・井上久男は朝日新聞出身らしい。彼はこう結んでいる。<ダイナミックな世界の動きに比べて、トヨタでは明確かつ大胆な戦略が見えてこない。自動車産業は勝者と敗者の入れ替わりが激しい業界だけに、このままではトヨタが負け組に転落する日が来てもおかしくないと感じてしまうのである>
盛者必衰。トヨタも永遠ではない。安倍一強も然りである。