新聞・週刊誌に「凄腕スナイパー」いないのか!?米国メディアはトランプに真っ向勝負

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   米ロ関係が厳しさを増す中、安倍首相は訪ロしてプーチンと会談した。推測するに、トランプから北朝鮮への制裁に足並みをそろえてくれるという「言質」を取ってこいといわれたのではないか。

   だが、けさ27日(2017年4月)の新聞各紙を見ると、北朝鮮問題については何の進展もなかったようだ。産経新聞だけが「核開発と弾道ミサイル発射を強行する北朝鮮に対し、さらなる挑発行為を自制するよう働き掛けることで一致した」と書いていたが、朝日新聞が時時刻刻で書いているように、「ロシアのプーチン大統領は、北朝鮮によるミサイル開発や核兵器保有は認められないという見解では日本と一致している。だが一方で、北朝鮮よりも米国の方が自国や地域への深刻な脅威だと考えており、隔たりは大きい」というのが本当のところであろう。

   トランプとプーチンの仲を取り持ち、外交力を見せたかったのだろうが、プーチンに「オレよりもトランプを何とかしろ」といわれ、安倍首相はすごすごと引き下がった。

   がっくりしているところに追い打ちをかけるように、森友学園問題が再び火を噴き始めた。朝日新聞に詳しいが、森友学園の国有地売却問題で、財務省近畿財務局が売買契約締結までの手順を書いて学園側に渡していたことが、籠池前理事長の録音記録から明らかになったのである。

   その進展状況は籠池側から昭恵夫人に逐一伝えられていたことも判明。こうなれば昭恵を証人喚問せよという世論はさらに強まるはずだ。安倍が何としてでも通したい「共謀罪」を強行採決をすれば、一気に安倍への批判は高まり、支持率は急落するはずだ。

   新聞、週刊誌など紙メディアの出番だが、日本にはワシントン・ポストのマーティン・バロン(62)のような「凄腕スナイパー」のいないことが残念だ。バロンはボストン・グローブ紙編集局長のとき、映画にもなったカトリック教会神父らによる性的虐待をスクープしている。4月に同紙は、トランプのやっていた慈善活動を調べ上げ、財団を私物化していた実態を明らかにした。彼は嗅覚が鋭く、疑惑があれば決してターゲット(トランプ)から目を離さない。バロンはスピーチでこう述べていると週刊文春が報じている。

   <「トランプ政権は機会さえあれば、我々を脅かすのか? 何をするにも妨害に遭うのか? もしそうなるとしたら、我々はどうしたらいいのか?」
 そしてこう続けた。「答えは簡単だと私は思う。我々は我々の仕事をするだけだ」>

   国際NGOの国境なき記者団は26日(2017年4月)、2017年の「報道の自由度ランキング」を発表した。アメリカは「トランプ大統領がメディアを民衆の敵だと位置付け、いくつかのメディアのホワイトハウスへのアクセス制限を試みた」として、41位から43位に下げた。日本は順位こそ変わらないものの主要7か国中最下位の72位。汚名返上するには今しかない。

日本の裁判所ここまでひどい!期待できそうな岩瀬達也の新連載

   岩瀬達也は年金問題にいち早く手をつけ、週刊現代に連載しているのを民主党(現・民進党)の長妻昭が読み、これをベースに国会で質問して大問題になった。その後、参院選で惨敗した安倍首相は辞任せざるを得なくなったのだが、その岩瀬が今度は裁判官の暗部に迫る連載を始めた。期待できるかもしれない。何しろ2年間にわたり取材を重ね、のべ100人近い現職や元裁判官に会い、話を聞いたというのだから。

   第1回目は、裁判員裁判は国民を騙して導入したもの、エロエロツイートなどと発信して物議をかもしている岡口基一裁判官、1971年にあるべき司法の姿を議論するために立ち上げた「全国裁判官懇話会」のメンバーだった伊東武是(72)が、最高裁に問題提起をしたために出世が遅れ、裁判長になれたのは他より10年遅れの59歳だったというエピソードを書いている。裁判官は上に逆らわず無難にいくと10年目で年収1000万円になるそうだ。  私が知りたいのは、三権分立といわれている日本だが、実体は司法が立法をチェックできておらず、憲法を守るべき最高裁が憲法判断をしない現状を、現役裁判官たちがどう考えているのかだ。日本の最大のタブーにどこまで切り込んでくれるのか、岩瀬に期待したい。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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