原子力空母カール・ビンソン、本当はどこにいたのか? トランプと国防総省に足並みの乱れ

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   北朝鮮をめぐる緊迫した情勢が続いている。トランプ大統領は北朝鮮への対応をめぐり、上院議員全員をホワイトハウスに招いた。こうしたことは極めて異例だそうだが、経済制裁の強化などを通じて北朝鮮への圧力を強化していく方針を説明したと報じられている。

   だが、「米太平洋軍のハリス司令官は26日(2017年4月)、米下院軍事委員会公聴会で、北朝鮮に関して『米国は先制攻撃の様々な選択肢がある』と述べた。原子力空母カール・ビンソンが沖縄東方を航行しており、北朝鮮を攻撃できる射程内に入ったことも明らかにした」(朝日新聞デジタル4月27日05時00分より)

   トランプは少し前、カール・ビンソンを朝鮮半島近海に急行させたといったが、その時点ではカールビンソンと複数の護衛艦は、インド洋での演習に向かっていたことが後に判明する。

   ニューズウィーク日本版は、なぜこのような不可解なことが起きたのかをフィリップ・カーター(ジョージタウン大学非常勤講師)が探っている。これはトランプと国防総省の間に緊密な連携がなかった証であり、「米政府の国家安全保障政策に深刻な問題があることが露呈した」と分析している。

   トランプが意図的に国民を欺いたのか? 国防総省から渡された情報が誤っていたのか? 考えられるのは、トランプが強硬姿勢に出ると見越した米太平洋軍のハリス司令官が、選択肢を示す狙いで指令を出したのではないかとカーターはいっている。

   しかし、62年のキューバ危機や94年の朝鮮半島の危機のような状況が近づいているとしたら、「このホワイトハウスと国防総省、太平洋軍司令部の足並みの乱れはとんでもないことだ」(カーター)。トランプは、国家安全保障は不動産事業とは大違いだということを理解する必要がある。さもないと「彼は大統領として悲惨な結末を迎えるだろう。もしかすると世界全体も」(同)

サイバー攻撃で「北のミサイル失敗」のウソ

   またニューズは、「アメリカのサイバー攻撃で、北朝鮮ではミサイルの発射実験の失敗が相次いでいる」と書いたニューヨークタイムズの記事は誤りだとしている。

   軍縮問題の専門家ジェフリー・ルイスは、14年以降北朝鮮が実施した発射実験は66回あるが、そのうち51回は成功している。それも失敗したのは開発中のミサイル実験で、「(韓国と日本の駐留米軍への核攻撃に使用できる短・中距離ミサイル)の発射実験はおおむね成功している」といっている。

   ルイスは、ハッキングによって北朝鮮のミサイルの脅威を阻止することができると信じるアメリカ人は、見たくない現実から目を背けており、「失敗しているのは北のミサイルではない、アメリカの政策だ」と手厳しく批判している。

   こうした報道が、北の脅威を直接受けている日本のメディアではなぜ報じられないのだろうか。

   政府は、北から発射されたミサイルが着弾の可能性がある場合、頑丈な建物や地下街に避難し、建物がない場所では物陰に隠れて地面に伏せるよう要請している。バカバカしくて笑ってしまうが、これがトランプのお友達である安倍首相が考えている国民を守る「最善策」なのである。

   いずれにせよ、韓国と日本にいるアメリカ人が本国へ帰国を始めたら、戦争間近ということだ。そうさせないためにはトランプと金正恩の暴走を抑え込む日中韓の連携が絶対条件になるが、安倍首相にそれを期待するのは無理というものだ。

   J-CASTニュースは「25日の朝5時に北朝鮮がミサイル50発を日本に向けて発射する」というフェイクニュースが流れパニックに陥った人がいたことを報じたが、それが現実にならないよう祈るしかない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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