野上慎平アナが「歴史が動きました」と、この男はいつもオーバーだが、今回はどうやら本物。そのはずだ、天才羽生善治・三冠(46)に、最年少の中学生プロ藤井聡太・四段(14)が勝った。のみならず、大先輩7人を相手に6勝1敗。新たな天才の誕生だという。
羽生三冠といえば、スーパースター。15歳でデビュー、25歳で七冠を達成。通算97期のタイトルを獲得してきた将棋界のレジェンドだ。その三冠が、追い詰められ、持ち時間がなくなって、最後「負けました」と頭を下げた。
AbemaTV 将棋チャンネルが企画した「藤井聡太四段 炎の七番勝負」。藤井四段は昨年12月にプロデビューしたばかり。公式戦では、三冠との手合わせなど考えられないのだが、これもテレビのおかげ。というのも、藤井四段、デビュー以来13連勝、負けなしと、注目の的なのだ。
昨日放映された記念碑的対戦で、羽生三冠は初めから頭を抱えるスタイル。藤井四段は前のめり。羽生三冠が持ち時間を使い切って、一手1分以内という状況になった。絶体絶命と追い詰められ、切り返した勝負手も通じず、藤井四段の111手目だった。
「すごい人現れた」と羽生三冠
羽生三冠は、「攻守バランスよく指されて、非常にしっかりしている将棋だなと思いました。今の時点でも非常に強いと思うが、ここからどれくらい伸びていくか、すごい人が現れたなと思いました」という。
当の藤井四段は、「羽生先生の将棋を見てここまで来たという部分もありますし、勝てたというのは本当に嬉しいです」という。まだ学生服だった。
藤井四段の師匠、杉本昌隆七段も、「全く隙がない将棋を指した。羽生三冠にしても、どこが敗因かわからないと思われるほど、藤井の出来がよかった」と言った。
このテレビ企画は、藤井四段が、羽生三冠のほか、若手のホープから中堅エース、将棋連盟会長などの長老までが、14歳に胸を貸す、というもので、「1勝できればいいか」などとみられていた。これが、6勝1敗というわけだ。
相手がすごい。Aクラスから、羽生三冠のほか、深浦康市九段(45)、佐藤康光九段(47)、B1から斎藤慎太郎七段(24)、B2から中村太地六段(28)、C1から永瀬拓矢六段(24)、藤井四段と同じC2 から増田康宏四段(19)。
これに軒並み勝った。10人しかいないAクラス、藤井四段だと4年かからないと到達できないAクラスの3人にも勝った。唯一負けたのが、永瀬六段。これは奇襲戦法に敗れたのだという。
司会の羽鳥慎一「大変な人が現れた。定石では勝てない」
野上「しかも、14歳が46歳の羽生三冠のポジションを襲う。中学生が羽鳥さんとポジションを代わる」
羽鳥「藤井さんなら、2時間も先が読める」
野上「7大タイトルのうち、名人位はAクラスしか挑戦できないが、他は誰でも挑むことができる。ただし、タイトル戦となると、待ち時間も8時間(テレビマッチだと2時間)と変わる。戦い方も変わる」
もっとも手近にあるタイトルは、年末の「竜王」だそうだ。