昨日(2017年4月23日)行われたフランス大統領選挙は、日本時間の今日午前3時から開票が行われ、前経財相のエマニュエル・マクロン氏(39)と極右のマリーヌ・ルペン氏(48)が決戦投票に進むことになった。EU、移民などを巡って、フランスを二分する戦いになる。投票は来月7日。
今回の選挙は、中道右派のフィヨン氏、左派のメランション氏と4人の争いになったが、いずれも過半数を得られず、上位2人の決戦投票となる。
注目を集めているのが、国民戦線党首で過激な発言から「女トランプ」と呼ばれるルペン候補。父親から受け継いだ極右政党をさらに伸ばしてきた。特にこのところ続くテロと移民問題、EUがもたらす不利益への、国民の不満をすくい上げて、勢いがある。
「私はフランスを守る」「国境もなく、安全もないグローバル社会を続けたいか。これが嫌なら、私を選びなさい」「政府は役立たず。私が大統領になったら、フランスを守るために、イスラム原理主義と戦う。刑法を改正する」--
主張は、保護主義、移民排斥、EU離脱と、わかりやすい。20日、シャンゼリゼで起きたテロも追い風になった。有産階級、知識人からは毛嫌いされているのだが、失業者や、EU共通政策で圧迫される農民、テロに怒る市民の感情には訴える。ツイッターを多用するところもトランプ氏と似ている。
対するマクロン氏は、オランド大統領の経財相。「私を選んでくれれば、ヨーロッパがフランスを守ってくれる。それがチャレンジだ」と、EUを基本にすえる。もともとフランスが作ったEUの理想を追う、いわば正統派だ。
決戦投票では、他の2人の候補の票がどちらに流れるかで決まる。右派の票でも必ずしも、ルペン氏にとはいかない。左派はなおのことと、と思われるが、ルペン氏は失業者、農民に驚くほど浸透している。「隠れルペン」という言葉もある。
「女トランプ」の支持どこまで?
司会の羽鳥慎一「女トランプと言われている」 住田裕子(弁護士)「冷静な論理的な判断ではなく、感情的な部分--生活が苦しいとかテロへの恐怖・不安とかが、『隠れルペン』になっている」
羽鳥「若年の失業率が20%を超えていて、その不満がルペンさんに向いている。アメリカの大統領選挙と同じような雰囲気になってる」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「EUはもともと、独仏が2度と戦争をしないためにできた。イギリスも出た、フランスも......となったら、人類としては後退だと思う」
この日の新聞紙面には、「ユーロ離脱なら、最大21兆円の損失」「50万人の雇用が失われる」「リーマンショック以上」などという文字が並んだ。しかし、その後株価の速報が入ったが、日経平均で前日比プラス289.58だった。
羽鳥、「ルペンさんになったら大変だが、それが2位だったので、よかったというサインかも。株価が上がって、円は安くなってます」
まさかフランスがEU離脱なんて......とは思うが、安心していると危ない。イギリスの離脱国民投票も、まさかの衆愚の結果だった。