「大臣であることの以前に政治家としての資質が問われる。とんでもない、ダメですね」。文化財の観光振興をめぐって「一番のがんは学芸員だ」と発言した山本幸三・地方創生相(68)に対しコメンテーターのロバート・キャンベル(外国人では日本初の国文学研究資料館館長)が鉄槌を下した。
山本地方創生相は翌17日に「がんだとか一掃すべきだとか適切でなかった。撤回します」と謝罪したが、簡単に撤回したところを見ると、よく調べもしないで発言したのだろう。安倍内閣にはこうした放言を簡単に撤回して平気な無責任閣僚が目に余る。
学芸員は普及活動にも力を入れている
発言は、大津市で16日(2017年4月)行われた地方創生に関するセミナーであった。山本地方創生相が講演の中で「外国人旅行者向けの観光案内が不十分だ」と指摘し、その原因について「一番のがんは学芸員という人たちですね。この連中を一掃しないといけないですね。この連中は普通の観光概念が全くない」と学芸員を一括りにし批判した。
学芸員は、博物館法で定められた国家資格の専門職。博物館や美術館で資料の収集や保管、調査・研究をしながら、併せて文化普及活動として一般向けに展示やイベントを企画・開催も行っている。観光ガイドをしないから一掃しろとは暴言も甚だしい。
この山本発言に現役の女性学芸員は「学芸員の仕事を分かっていない。研究だけをやっているわけではなく、社会への普及活動も私たちの仕事だということも分かっています」と憤っている。
スタジオでも、ロバート・キャンベルが「(山本地方創生相は)現場を見ていないと思う。私は大英博物館やスミソニアン博物館で実際に仕事をしていたが、日本の学芸員は負けていないんです。たくさんの人たちに素晴らしい文化財を見て何かを感じてほしいとすごく工夫をしている。現場を見てモノを言ってほしい。ダメですね」と切り捨てた。
山本地方創生相は、2014年の総選挙で福岡10区から出馬し7選目の北九州市門司区出身議員。元は大蔵官僚。菅義偉官房長官が当人に注意する形で幕引きを図る常態化したパターンにも問題がある。