中国・無錫で開かれた卓球のアジア選手権で、日本の平野美宇(17)が初優勝した。それも世界ランクで1、2、5位の中国選手をなぎ倒しての勝利。もともと毒舌キャラでも知られる平野だが、ますます舌が滑らかに動くようになっている。
快進撃は、17歳の誕生日14日(2017年4月)から始まった。準々決勝で対戦した相手は、世界ランク1位、リオ五輪金メダルの丁寧選手。ランク11位の平野はこれまで5回戦って、一度も勝ったことがない相手だった。
初めの2ゲームを落としてしまったが、続く2ゲームを驚異の粘りで奪い返すと、最終ゲームも勝ってしまった。丁寧選手がネットに引っ掛けて終わった時、平野は叫び声をあげて飛び上がった。はいいが、コーチに駆け寄った際、喜びのあまり腰が砕けてフェンスにかじりついた。
「誕生日に丁寧かよ、最悪」から逆転勝利
そのあとのインタビューは言葉の洪水。「めっちゃびっくりです」「誕生日に丁寧かよ、みたいな。誕生日最悪だわとか思って」「1ゲームも取ったことなくて、今日で最後かなと思っていたのに」「明日に残れて嬉しいです」
国際卓球連盟の公式サイトも、「ハリケーン平野が、チャンピオン丁寧をアジア選手権から屠った」と伝えた。
そして準決勝は、世界ランク2位の朱雨玲だったのだが、なんと3-0のストレートで撃破。おととい(15日)の決勝は、これも中国の世界ランク5位の陳夢。これまたストレートで破って女王の座に着いた。
「自分が一番びっくり」
「本当にびっくりというか、自分が一番びっくりしていると思います」「絶対日本の国歌を流してやると思ってたんですけど、両サイドに中国の選手がいて自分が真ん中というのが、本当に現実かなって感じ」
彼女を強くしたのは、リオ五輪での挫折だったという。同い年で幼い頃からのライバル、伊藤美誠が代表に選ばれ、自分は補欠。日本女子が団体で銅メダルをとって喜ぶ姿を、観客席から見ていた。
全日本選手権では最年少優勝
この時平野は、「美誠ちゃんが出ていると、自分も頑張らないとって刺激になるので、これからもっと」と言っていた。そして今年1月、本当に勝った。全日本選手権で史上最年少16歳9カ月で優勝したのだった。
面白かったのはその会見。「仲間からどんな言葉が?」と聞かれ、「同じチームでもライバルでもあるので、そんなにすごく『おめでとう』とは思ってないと思う。口だけ『おめでとう』とは言われました」(爆笑)とぶっちゃけた。
その後、伊藤美誠とのダブルスを解消するという会見では、「今までより仲良くしなくてもいいかなって」に、伊藤が「おい」と絡んで爆笑。
野上慎平アナ「世界ランクの1、2、5位を破ってるから、実質世界選手権を取ったようなもの」
石原良純(天気予報士)「中国もまさか負けるとは思ってなかった」
野上「平野は大アウェー状態。応援が全部相手に行くから」
中国メディアは冷静だった。ヘッドコーチが「平野の戦術は中国チームの先を行っている」と言った(南方日報)、決勝の相手、陳夢選手は「平野の進歩は『神速』。今後はもっと研究する」と言った(テンセントスポーツ)など。どういうことか、
卓球台に近く立っていた
野上がやって見せた。平野はこれまでより、卓球台に近く立っていたのだった。それだけ返しが早くなるから相手も大変だが、こちらも大変だ。しかしこれをやってのけたのだという。中国は「超攻撃的になった」といっているそうだ。
野上「リオ五輪で、練習相手とか球拾いをしていたのがあった」
司会の羽鳥慎一「現地まで行って出られないんですよ。でも、コメントも面白いですね」
石原「超攻撃的」(笑)