全国の書店員が選ぶ「本屋大賞2017」が昨日(2017年4月11日)発表された。大賞は恩田陸さんの直木賞受賞作『蜜蜂と遠雷』に決まった。直木賞とのダブル受賞は初めて。新たな帯には、2つの賞の名前に「50万部突破」「史上初のダブル受賞」の文字が並んでいた。
本屋大賞は、実際に売っている書店員さんが「一番売りたい本」として選ぶ賞だ。全国446書店の564人の投票で10作品がノミネートされ、二次投票で『蜜蜂と遠雷』が選ばれた。芥川賞と違ってポピュラーな直木賞と、これまでダブルことがなかったというのも、考えれば不思議だ。
この作品が直木賞を受賞したのは1月。その時本田さんは、「直木賞作家になっちゃいました」といっていた。今回の受賞には、「半信半疑だった」という。恩田さんは2005年にも「夜のピクニック」で本屋大賞を受けており、二度受賞というのも初めてだ。すごい。
にしても、売る方(本屋大賞)と読む方(作家が選ぶ直木賞)、双方から選ばれる作品とはどんなものなのか。
フランスの音楽家から送られた手紙から始まる。無名の16歳のピアニストを推薦する手紙だった。日本で開かれるピアノコンクールに参加する。彼を含む4人の天才ピアニストを中心に進む物語。予選から始まり、約10日間にわたる戦いが描かれている。
個性豊かな4人をめぐる物語だが、圧倒されるのはそのボリューム。上下2段組みで40行、約900文字。それが500ページもある。完成まで12年もかけたという。
「ピアノコンクールを野球漫画のように」
モデルにしたのは、浜松国際ピアノコンクール。3年に一度のコンクールに、恩田さんは4回通って、実際に聴いた。通い、聴き、書く。「コンクールを野球漫画のように描きたたかった」という。主題は音だ。音の世界を、文章でどう表すのか。
「極彩色の色彩が、変化している。何かエネルギーが行き交っているような」「音楽の速度と意思を感じ取ったのだ」「ベートーベンの曲の持つ、独特のベクトルのようなものが、少年の指先から、矢のようにホールに放たれているようなのだ」......本屋の店員さんたちには、その音が聞こえたということなのだろうか。
司会の羽鳥慎一「書く人と売る人、両方が評価した。良い本だけど売れないな、売れるけど、なんだこの本は。その両方の思惑が史上初めて合致した」
宇賀なつみアナ「物語が終わってしますのがもったいなくて、ゆっくり読みました」
浜田敬子(元アエラ編集長)「逆に一気に読んで、電車乗り過ごしました」
羽鳥「僕はテレビばかりで本、読まない。ダメなんですが、一気に読みました。で、読んだ後、演奏のところの表現が面白いので、そこだけまた見たり」
野上慎平アナ「クラシックはど素人ですが、わかりやすく書いてくれている。付箋を貼っていったら、2、300ページにもなった」
羽鳥「音楽家かと思ったら違う。だからかえってわかりやすく書いている」
野上「映像化もできるかも」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「逆に難しいかも」
一気にか、ゆっくりか、まずは読んでみないとね。