アメリカの国内航空で、職員輸送の座席確保のため、嫌がる乗客をひきずりおろす事態が起こって、大問題になっている。何人もの乗客がこの一部始終を動画に撮っており、動かぬ証拠が世界に流れた。
ことが起こったのは、9日(2017年4月)。シカゴ発ケンタッキー州ルイビル行きのユナイテッド航空3411便。機は満席だったが、離陸直前になって同航空は、乗務員4人をルイビルへ送る必要から、席を譲る用意のある乗客を募った。しかし誰も応じなかったため、コンピュータ抽選で4人を選び、退去を求めた。
翌朝診療予定の医師断る
3人はやむなく応じたが、医師を名乗る1人の乗客が「翌朝に診療がある」と言って拒んだ。このため同航空は空港のスタッフ、警察官を呼んで、強制的に退去させることになったのだが、この乗客が叫び声をあげて抵抗したため、最後は通路を引きずられて行った。
両手をつかまれて引きずられていく乗客は、メガネはずり落ち放心状態。口から血を流していて、シャツもまくれあがってヘソが丸出し。しかも、10分後にまた機内に戻って、血まみれのまま、「殺される」「家へ帰りたい」と言っていた。
この様子を、複数の乗客が動画に撮っていた。映像には、他の乗客の「やめてよ、何をしているの」「ひどすぎる」「何てこと(オーマイガ)」などの声も入っていた。これをテレビ局が流したから、一気に世界ニュースになり、非難轟々となった。
ネットには、「これは合法なの?」「もうユナイテッド航空には乗らない」「彼は医者で、命を救っているんだぞ」などの書き込みが並んだ。
動画を撮影した人は、「次の日に仕事がある人を搭乗させるため座席が必要だといい、(件の乗客に)あなたが選ばれたので飛行機を降りるようにいったんです」という。
乗せるのは関連航空会社のフライト・アテンダントだった。これを送らないと、次の便が飛べなくなる。同航空は、「800ドル(約8万8000円)とホテル代を払うから」と条件を出して、翌日の便に変更する乗客を募った。最終的には14万円まで上げたのだが、誰も応じなかった。
ユナイテッド航空のルールでは、定員オーバーの場合は、搭乗を拒否できることになっている。コンピュータで無作為に4人を選んだ結果だったが、どう考えても警官のやり方は行き過ぎ。ユナイテッド航空のCEOは、「事態を遺憾に思います。乗客と話し合って解決していく」とコメントを出した。
米・地元紙「離陸するまで、自分の席あると思うな」
地元紙シカゴ・トリブーンは、「飛行機が離陸するまで、自分の席があると思うな」と書いた。
司会の羽鳥慎一「これはやりすぎですよ」
浜田敬子(元アエラ編集長)「いくら規則があるとはいえ、自分たちのミスですよね、オーバーブッキングは。なのに、乗客にリスクを負わせ、暴力まで使ってというのは、デレが見てもおかしい」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「会社の都合じゃないですか。それを暴力なんて、ありえない」
料金少ない人から降ろされる
アメリカの航空会社で去年1年間に予約を取り消された乗客は4万人(米運輸省)という。日本では、予約取り消しの場合、当日の便への変更だと1万円、翌日以降だと2万円の協力金を払い、別に宿泊費、交通費なども補償する。
航空業界に詳しい戸崎肇・首都大学東京特任教授は、「座席の数だけの予約だと、キャンセルで穴が開く。そこでオーバーにブックする。が、乗る前に大体わかるから、カウンターで協力を求めるのが普通」
羽鳥「今回は乗っちゃってから」
玉川「法的にはOK?」
戸崎「大体内規で、どういう順番で合理的に降ろすか、は決まっている。料金を少なく払ってる人から降ろすとか」(笑)
玉川「お得意さんは降ろさない?」
安い航空券は危ないってさ。