籠池氏の「手紙」を「翻訳」したのは誰?
さて、証人喚問以来、あまり表に出なくなった籠池泰典森友学園前理事長だが、その代わりといっては何だが、ジャーナリストの菅野完が、週刊朝日で籠池のいい分の正しさと、安倍首相の、この事件を葬り去ろうという画策に「NO」を突き付けている。
菅野は、問題になっている昭恵の秘書、谷からのFAXだが、それと突き合わせて読むとよくわかる籠池が昭恵側に出した「手紙」についてこう書いている。
「冒頭の挨拶や自己紹介、依頼内容の概要など、手紙らしい内容は一切ない。ただただ要求内容が羅列されるだけ。『籠池氏が何をしている人か』『なんでこんな手紙を送りつけてきたのか』という予備知識がなければ、到底、理解できるような代物ではない。しかしながら、これに対する返答である谷氏からのFAXは、予備知識のない人間であれば読解不可能なはずの『籠池からの手紙』を見事に読み込み、その要求事項の全てに遺漏なく的確に返答しており、先述のように『工事立替費の次年度での予算化』という『籠池の要求』を完全に満たす回答まである」
菅野は、ここまで円滑なコミュニケーションが成立するためには、谷に解説する人間が必要で、それは、籠池が留守番電話に吹き込んだといい、自身のフェイスブックでも認めている、昭恵が担当したと考えるのが自然だろうといっている。
昭恵が籠池の要求を受け、それを財務省に伝えろと谷に指示を出した。
「これでは政治家が行う『陳情処理』や『口利き』と全く同じではないか」(菅野)
昭恵の土地取引への関与は誰の目にも明らかだという菅野の主張は、私にも理解できる。
これまで、政府、与党側から、この問題で資料が出されたことはない。議論の検討材料になる資料はことごとく籠池側から提示されたものばかりである。
それにもかかわらず、安倍や菅官房長官のいい分は「苦しいいい訳に過ぎない」(同)。それは安倍が、妻と私が関わっていれば、総理も議員も辞めるといってしまったため、すべてを籠池の狂言にしなくてはならなくなったためである。
「たかだか首相一人のプライドを守るために、政府高官たちが嘘に嘘を重ね、国家を溶解させていく姿は見るに忍びない。もうゲームオーバーだろう。首相、いい加減、諦めなさいな」(同)
大阪地検が捜査を開始したが、東京地検特捜部の元検事、郷原信郎弁護士は、こう語っている。
「籠池氏は証人喚問でも、一貫して昭恵氏から100万円をもらったと語るなど政権には大きなダメージを与えた。そんな意を法務省が"忖度"し、告発状を受理したとリークしたのではないか。補助金は返還しているので通常は捜査しても起訴はありえない」
むき出しの国家権力を使って、一市民をひねり潰そうというのは、あってはならない。
籠池の人間性や信仰心はともかく、ここで安倍の横暴を止めないと、日本は北朝鮮よりも言論弾圧がひどい国になる。
森友の次は加計学園への安倍関与疑惑がある。共謀罪審議をたった30時間で終わらせ、成立させようとしている安倍政権を止めるためにも、メディアにはより一層頑張ってほしい。