森友学園問題の発端となった、「国有地の安値払い下げ」で近畿財務局などを対象にした刑事告発を大阪地検特捜部が昨日(2017年4月5日)、受理した。告発容疑は「背任」。告発したのは、問題の小学校用地の経緯を知る豊中市議他189人だ。いよいよ「忖度」に迫れるのかどうか。
告発した木村真・豊中市議は、この問題の火付け役。隣接地を豊中市が公園用地に払い下げを受けたが、問題の土地はダメだった。その後工事が始まって「小学校」だとわかり、払い下げ価格を調べたら、「黒塗り」だったことから調査を始め、例の8億円値引きがわかったのだった。
木村氏は告発状を提出した先月22日、「容疑者を特定して責任を追求するのは当たり前の話。そのために検察庁はあるんと違いますか」と話していた。告発相手は「財務省近畿財務局内 氏名不詳者ら」となっている。この「ら」は、財務局の背後にいる人間を指す。財務省は誰のために動いていたか、である。
司会の羽鳥慎一「これでいよいよ核心に入ることになる」
告発内容はシンプルだ。「1億3400万円が著しく安い価格であることを熟知しながら、森友学園の利益を図り、国有財産を不適切に安売りし、国に財産上の損害を与えたとする背任容疑」
告発のポイントは4つ
1)別の学校法人が約5億8000万円で購入を希望したが、「低額すぎる」と拒否
2)不動産鑑定士によると、(年額)4300万円での貸付が適当なのを、2730万円で激安貸し出し
3)ゴミ処理費用の鑑定は第三者に依頼するのが原則。それを無視して自ら(近畿財務局、大阪航空局)実施した算定手続きが極めて不適切
4)売買契約での大幅な値下げは、政治的な働きかけや圧力があったと推測
ミソつけていた大阪地検特捜部に注目
元財務官僚の山口真由氏(弁護士)は「難しいなと思うのは、背任とは普通は組織に対する裏切り。財務省の利益と国民の利益が一致しなくなっている。誰のためかを、もう一度見直したほうがいい」
田崎史郎(時事通信社特別解説委員)「政治的な働きかけ、のところがカギ。大阪地検特捜部は、籠池さんに対する告発も受理している。ただ、この特捜は不祥事が多かった」
青木理(ジャーナリスト)「問題の原点。籠池さんの言う『神風』が吹いたのかどうか。確かに、証拠改ざん問題があってから、特捜検察に対する疑念が強まって、このところ捜査ができていない。さらに、安倍一強と言われる中、検察も官僚組織なので、大阪地検がどこまでできるのか、期待も注目もしないといけない」
元検事の大澤孝征弁護士は、「事前に内定捜査を進めていたはず。告発受理は、公然と調査を始めると宣言したようなもの。近畿財務局から始める」という。
その近畿財務局は、2013年から15年にかけて、土地の払い下げと学校設立認可について5回も大阪府を訪ね、結局2015年1月27日、私学審議会は「条件付き認可」を与えている。財務省がこれだけ出かけるというのは、あまり聞かない。
これについて、松井大阪府知事は、「売り急いでいた」と言っている。その当否はともかく、特捜部がどこまで国民の視線を感じているか、でもある。