森友学園の騒動が思わぬ方向へ広がった。小学校の建設工事費の未払いで、施工業者の「籠池前理事長の自宅の仮差押え」の申し立てを大阪地裁が認めた。業者は追いかけて、損害賠償も起こすという。小学校設立がなくなり、補助金もなくなり、あらゆる負債が学園に行く。財務省の問題は、ますます忘れられる?
施工業者によると、小学校の建設工事費は約21億円で、うち約4億5000万円が支払われたが、16~17億円が未払いだという。無論、工事はストップしたままだが、業者は、早ければ来週にも森友学園を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こすという。「(籠池さんから)連絡はない。寂しいばかり」という。
コメンテーターの菅野朋子弁護士は、「裁判所は、勝訴の見込みがないものは、なかなか仮差押えを認めない」という。認めたということは、本訴では業者が勝つだろうと認めたということらしい。
その籠池泰典氏は、理事長の座を娘の町浪(ちなみ)氏に譲ったが、町浪氏は「教育勅語」を園児に斉唱させる泰典氏のやり方に批判的で、「特定の思想信条に拘束されない」と言っていると伝えられる。「モーニングショー」も「教育勅語」の問題に突っ込んだ。
「教育勅語」で玉虫色の閣議決定
国会での質問を受けて政府は、「憲法や教育基本法に反しない形で、教材として用いることまでは否定されない」との答弁書を閣議決定している(2017年3月31日)。菅義偉・官房長官は「適切な配慮の元に教材として用いること自体に問題はない」と述べた。
尾木直樹氏(教育評論家)「なぜこんなことにこだわるのか、1948年に国会で失効決議されてるのに、『教材として』とはどの教材をイメージしてるのか。18年から道徳教育が強化されるのと連動しているような。前を向けばいいのに、なんで後ろばかり向くんだろうと」
青木理(ジャーナリスト)「政府としては排除したいんだけれども、安倍さんや稲田さんが支持している。安倍さんのコアな支持基盤の中には、教育勅語を復活させよという本当の右派もいる。だから玉虫色にしたのが、この答弁書」
司会の羽鳥慎一「官僚の作文」
岸博幸氏(慶応義塾大大学院教授)「できの悪い国会答弁に近い。具体的にどうやるかがわからない」
羽鳥「具体的に書かないことがいい答弁?」
岸氏「いい答弁であり、出来が悪い」(笑)
青木「でもこれで、教育勅語がある種の容認もされる一歩にもなる」
岸氏「1948年の国会で失効を決議している。閣議決定とは重みが違う」
青木「森友学園問題で浮かび上がったのは、国有地の払い下げ、忖度が一つ。もう一つは政権の復古的な側面をあぶり出したことがある。政権の最終目標は憲法改正」
菅野「憲法改正と言うと、9条に目が向くが、こちらの問題も改憲の理由になっている。目を向けないと」