「国策企業」東芝の救済シナリオは
最後はもだえ苦しむ巨竜・東芝は、米原発事業の巨額損失で傷んだ財務基盤を強化するため、営業利益の半分程度を稼ぐ同事業を売却し、2兆円規模の資金調達を目指すことを発表した。
それでもなお苦しい状況ではあるが、週刊現代によれば、メインバンクは東芝支援をこれからもやっていくと、腹を決めたと報じている。
それは、東芝がインフラ事業や鉄道、道路標識などに深く関わっているから、もし東芝が潰れれば、オフィスビルやタワーマンションでエレベーターが止まり、鉄道が運休し、交通標識が誤作動を起こす。
また東芝社員は19万人だが、東芝の取引先は1万社を超えるといわれ、全国1万件の連続倒産にでもなれば、日本経済にも大打撃である。
それに事故を起こした原発の廃炉の技術や軍需産業もある。東芝は「国策企業」だから、これを放置したままにすれば、日本だけではなく、国際的な外交問題にもなりかねないのだ。
だからメインの三井住友銀行も、東芝への不満はいうが、手を引くことはないようだ。また週刊現代によれば、政府系の「産業革新機構」が出資するシナリオもあり、政府系として生き残る可能性もあるようだ。
たしかに、これだけの企業を潰すわけにいかないことはわかる。だが、それと、東芝の経営陣の放漫経営、経営責任追及をおろそかにしてはならない。すべての膿を出し、経営陣を一新し、不要な部分はそぎ落として新生東芝として厳しい再建への道を歩む。
東芝で起きていることは氷山の一角であるはずだ。第2、第3のシャープや東芝はこれからもっと出てくる。そのためには徹底的な東芝の再建を、国民にわかるように見える形でやってもらいたいと思う。