国有地の安値払い下げに始まった学校法人「森友学園」問題は、週が明けてもくすぶり続けている。政府は、森友の籠池理事長の国会での証人喚問で出た全てを否定し、うやむやに幕を引く気配だが、野党は収まらない。さらに松井大阪府知事が、「安倍首相は忖度を認めるべきだ」と言い出した。何がどうなってる?
23日(2017年3月)の衆参両院の証人喚問で、森友学園の籠池泰典理事長は、安倍昭恵夫人つきの政府職員から送られたファクスを明らかにした。小学校用地の借地契約に関して、財務省に問い合わせた結果、「要望には添えない」と知らせる内容だった。
籠池氏は「昭恵夫人に留守電でお願いしたこと」に応えるものだったという。その通りなら、夫人は政府機関への口利きの労をとっていたことになる。
政府「ファクスは職員が勝手に答えた」
しかし政府は、これは政府職員に対して別にファクスであった要請に、職員が勝手に答えたものだとし、昭恵夫人の関与はなかったと突っぱねた。政府職員が勝手に動いていたというのは、霞が関の常識からはかなり無理がある。
参院予算委で野党はこれを、「関与、口利きという」と追及したが、安倍首相は「ゼロ回答であり、忖度していないのは明らか」といった。ファクスの最後には、「引き続き、当方としても見守ってまいりたい」というくだりがあった。この「当方」とは誰か、に菅官房長官は、「当然職員です」と答えて失笑を買った。
籠池氏はまた、昭恵夫人と籠池夫人とのメールのやり取りも公開し、「口止めとも取れる内容があった」としたのに対し、安倍首相は「一部だけを取り上げて口止めとは、極めて遺憾。悪意に満ちている」と怒った。
もう一つの焦点、籠池氏が昭恵夫人から受け取ったという100万円の寄付と講演料10万円については、「100万円は渡していない」「講演料をいただいていない」と夫人自らブログで否定している。
野党は、昭恵夫人の証人喚問を要求しているが、政府は受ける考えはない。
そんな中、籠池氏が、「梯子を外された」などとしばしば名前を挙げた松井大阪府知事が口を開いた。大阪府は、籠池氏の小学校設立の認可を与えたが、国の土地の払い下げと大阪府の認可はセットで動いていた。今回の騒動の後、森友学園は認可申請を取り下げている。