稀勢の里、右手一本でつかんだ逆転優勝!新横綱の優勝は貴乃花以来22年ぶり。

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   大相撲春場所・千秋楽の昨日(2017年3月26日)、会場のエディオンアリーナ大阪は波乱に湧いた。新横綱稀勢の里が、結びの一番で大関照ノ富士を破って優勝決定戦に持ち込み、さらにこれも破って優勝した。左肩を痛めて痛々しい姿だったが、最後は右手一本で勝った。新横綱の優勝は貴乃花以来22年ぶり。

   優勝の瞬間、出身地の茨城・牛久の後援会・パブリックビューイング会場は、老若男女がおどりあがった。「稀勢の里」の法被と旗が振られる。「興奮しました、涙が出ました」「ほれぼれするなぁ。たいしたもんだよ」。事実、誰もが反対の結果を覚悟していたのだった。

   稀勢の里本人の言葉も、そうした状況を物語る。「苦しかった分、嬉しかった」。表彰式では、涙ぐむ瞬間もあった。「泣かないと決めていましたけど、すいません」「自分の力以上のものが最後は出たので、諦めないでよかった」「何か見えない力を感じた15日間でした」

   横綱としての最初の今場所、滑り出しは好調だった。落ち着いた取り組みで、12連勝。だが13日目、横綱日馬富士との対戦で土俵下に転げ落ちたあと、苦しそうに左肩のあたりを押さえてしばらく立ち上がれなかった。終わったあと救急車だった。「ここまで来て休場か」と誰もが思った。

本人「出る」と押し切った

   しかし本人は「出る」と頑張った。田子の浦親方も認めざるをえない気迫。14日目は横綱鶴竜だった。怪我を押しての強行出場だったが、あっという間に寄り切られた。12日目までとは別人だった。どうやら左腕が使えないらしい。

   これで2敗。千秋楽の対戦相手は1敗と好調な大関照ノ富士だ。優勝するには、これに勝ってさらに優勝決定戦に勝たないといけない。力なく鶴竜に負けた姿から、誰の目にも無理だと思えた。

   その照ノ富士戦では、稀勢の里は立ち合いで左に飛んで、真正面のぶつかり合いを避けた。押し合いから土俵際へ後退、最後は叩き込みで勝った。2敗同士の優勝決定戦だ。ここでも稀勢の里は差し込まれていたが、右手一本、小手投で勝った。

   司会の夏目三久「得意の左が使えない。千秋楽を戦える状態ではなかった。ここまで来るともう気持ちですね」

   龍崎孝(流通経済大学教授)「見事としか言いようがない」

   夏目「怪我の状態が気になります。ゆっくり治してください。おめでとうございます」

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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