『トクホ』効かないばかりか危ない!?EUでは「子どもに摂取させるな」
安全といえば、週刊新潮がCMで喧伝されているトクホ(特定保健用食品)には「大嘘」のものが多いという特集を組んでいる。トクホとして販売するには製品ごとに有効性や安全性について審査を受け、表示について消費者庁の許可を得る必要がある。3月20日(2017年)時点でトクホは1168品目あるという。販売されていないものもあるから、現在販売・準備中のトクホは454品目。2015年度の市場規模は6391億円もあるそうだ。
まずは、脂肪の吸収抑制・排出増加を謳っている「からだすこやか茶W」「キリンメッツコーラ」などに入っている難消化性デキストリン(以下、難デキ)は「効き目ゼロだった」というのである。これはトクホ全体の3分の1を占める「魔法の成分」といわれるそうで、難デキは水溶性の食物繊維で、デンプンを加工処理した物質だという。国が許可した難デキの効用は20年ほどの間、整腸効果や血糖値だけだった。そこに2011年に「脂肪」の文字が加わる。そのために脂肪の多い食事を摂りがちな人や中性脂肪が気になる人の食生活改善になると爆発的な売れ筋になる。
だが、筑波大学の鈴木正成名誉教授らが2010年に、日常的な食事を摂った場合に難デキ6グラムが含有された茶飲料、グァバ葉茶ポリフェノールが70ミリグラム以上含有された茶飲料、普通の水出し煎茶と、それと合わせてダンベル体操をやった後の食後血糖値上昇抑制効果を調べた結果、どの茶も血糖値の上昇を抑制したものはなく、有意差が出たのはダンベル体操だけだったという。
さらに、千葉大学の山本敬一名誉教授によると、このトクホの根拠論文がいずれも松谷化学工業という会社の研究者が作成した論文に依拠しているそうで、ここは難デキの国内シェア8割を誇る会社だというのである。山本名誉教授はその論文で難デキを摂取すれば脂肪が排便として多く排出されるとしているが、「そこに表れた1・2%の差は生物学の世界では誤差の範囲。このことから難デキには脂肪を抑制する効果はない」というのである。
10億本を突破したお化け商品「伊右衛門 特茶」は、謳い文句とは逆に体脂肪率も体重も増加するという。サントリー食品インターナショナルのHPにあるグラフがミスリードしていて、首を傾げざるを得ないと高橋久仁子群馬大学名誉教授が話している。特茶の主な論拠論文を当たったところ、特茶を飲み続けると体重が減らないばかりではなく、体重も脂肪率も増えていたというのである。これなら飲まないほうがいい。
トクホの許可は消費者庁の管轄で、その有効性や安全性の評価は「消費者委員会新開発食品調査部会」で審議される。しかし、特茶が関与成分としているのは「ケルセチン配糖体」だが、審議を担当する専門家ですら解釈に困る代物だったというのである。そのためメーカーには再度の説明が求められ、結局、お腹回り、ウエストサイズ、肥満という文言が削除されてしまったそうだ。
リカルデントというガムに添加されている人工甘味料は、「90年代後半には、米国の複数の研究者が脳腫瘍を引き起こす可能性を指摘」(科学ジャーナリストの渡辺雄二)しているという。
生きたまま腸に届くという「ヤクルトAce」も意味がないとニベもない。「この手の乳酸菌飲料でなくても健康は維持されますし、特定の乳酸菌でないとダメということもない。無理して高価なトクホを買うよりも、バーゲンセールで買ったヨーグルトを選べば十分ですよ」(秋津医院の秋津壽男院長)
日本ケロッグの「オールブラン オリジナル」も、「その人数(被験者=筆者中)もたった11人ですから、どんな量を何日間摂取したらどのような効用があるのか、納得できる証明になっていない」(唐木英明東京大学名誉教授)
日清オイリーの「ヘルシーコレステ」に入っている植物コレステロールには思わぬ副作用が発覚したという。ドイツやEU全域でこれを使った加工食品には「血中コレステロール値が普通の人や子供は摂取するな」という警告表示が義務付けられたそうである。
週刊新潮がいうように、「聞こえのいい効果ばかりが喧伝され、そこに潜むリスクが周知されているとは言い難い」のだ。週刊新潮はこの問題を引き続き追いかけるそうだから、要注目である。