虚実入り交じり、霧の中だった森友学園への破格な国有地売却問題。籠池泰典理事長の爆弾発言をきっかけに一転、国会への証人喚問という新たな局面を迎えることになった。
背中を押したのは、参考人招致すら拒んでいた籠池理事長。問題の小学校建設現場を視察に訪れた参院予算委員会のメンバーに「安倍首相から100万円もらった」「国会でお話しします」と、安倍首相夫妻への対決ともとれる姿勢に転じた発言を行った。いったい何が理事長の心を変えたのか番組が探った。
参院予算委のメンバーが建設途中の小学校敷地内に入ったのが16日(2017年3月)午後2時。ところが籠池理事長は予算委メンバーをわざわざ報道陣の集まる入り口付近まで連れ戻し、理事長の口から爆弾発言が飛び出した。
「この建物についてどうぞ賠償していただきたい。これだけの先行投資をしていますから。我々がこの学園を造り上げようとしたのは、皆さま方のご意志があったからだと思っています。しかもそのご意志の中には安倍首相の寄付金が入っていることを伝達します」
領収証は「結構でございます」
予算委メンバーの説明によると、籠池理事長が話した寄付の金額は100万円。2015年9月、安倍首相の昭恵夫人が、森友学園の経営する幼稚園で講演のため訪れた際に次のようなやり取りがあったという。
昭恵夫人から「どうぞこれお使いください」と100万円を。籠池理事長「どなたからですか?」と聞くと、昭恵夫人は「安倍晋三からです」。籠池理事長が「領収書はどうしましょう」と聞くと、昭恵夫人は「それはもう結構でございます」と言われたという。
このあと自宅に戻った籠池理事長のところへ、あらかじめ打ち合わせておいたのだろう野党4党の議員が面会に訪れ1時間半ほど会談、終わって出てきた理事長が「全て国会でお話しすることにします」と断言した。
これを受けて菅義偉官房長官が急きょ会見し「総理は『自分で寄付はしていない。昭恵夫人、事務所等も第三者を通じて寄付はしていない』といいうことでありました」と否定した。ところが菅官房長官は「念のため夫人個人が行ったかどうかも現在、確認しているところです」と一見、矛盾する話を付け加えた。
では、安倍首相夫妻にはこれまで気配りをしてきた籠池理事長が、なぜ急に対決ともとれる姿勢に転じたのか? 番組出演者たちの見方が微妙に割れた。