保守人脈使うのが常套手段
政治の関与が改めて問題になる。
籠池泰典理事長が時代錯誤の復古調教育方針に賛同する人脈を使って小学校建設を進めようとしたことが少しずつ明らかになってきた。
籠池氏と面識があり、関西の保守政界に人脈を持つ男性は、民主教育への保守層の反発から「籠池氏の教育方針が一部の方々から絶賛された」と語った。
籠池氏は2012年、幼稚園に隣接する府立公園に住民要望で花壇が作られようとした時、主宰するラグビー教室にじゃまだと反対し、市議2人と市へ談じこんだ。決まっていたはずの花壇建設は中止された。保守人脈を使うのが常套手段だった。
山口県防府市の松浦正人市長から「すばらしい教育者だ」と籠池氏を紹介されたという中川隆弘大阪府議は3年前、籠池氏から急ぎの電話をもらった。小学校の認可が保留された時だった。「なんとかうまくいかないかと言われた。政治家を通じて動かそうという感じがした」という。
保守政界関係者は「森友学園に寄付した人は政治献金のような意識で、左翼偏向教育をたたきつぶす活動の一環として協力したと思う」と実情を語った。だとすれば、籠池氏が「やましいことはない。直(なお)き心で考えて学校を作ろうとした」といくら言っても、実態は教育を隠れ蓑にした金集めに近い。
籠池氏にからんだ政治家には安倍首相夫妻や稲田防衛相の名もちらつく。西川記者は「政治が関与しているかどうかはわかりませんでした」と述べるにとどまった。
ノンフィクション作家の菅野完さんは「安倍首相の昭恵夫人とのつきあいを前面に出せば(国との)交渉に有利だと考えるに至らしめた時代の空気が恐ろしい」と考え込む。
わからない点はまだ多い。「疑惑の解明が引き続き必要です」(西川記者)というのはその通りだ。ただし、この番組については問題点整理の範囲を出なかった。20人以上に取材と強調するが、これだけの問題になれば当たり前のことだ。もっとしっかり発掘調査してもらいたい。続編に期待しよう。
*クローズアップ現代+(2017年3月13日放送「追跡『森友学園問題』」