韓国の大統領を罷免されて民間人になった朴槿恵氏が昨日(2017年3月12日)夜、4年ぶりに大統領府からソウル市内の私邸に移った。私邸前には約1000人の支持者が詰めかけて、朴氏を励ました。朴氏は、「真実は必ず明らかになる」と話した。
午後7時すぎ、車から降り立った朴氏は、約10分もの間笑顔で支持者と挨拶を交わした後、自宅に入った。この際、朴氏は「大統領としての使命を最後まで成し遂げられずに申し訳ありません。すべての結果は私が背負っていきます。時間が経てば、真実が明らかになると信じています」と話したという。
朴氏には情報漏えいや収賄の容疑がかかっており、大統領を罷免され、不逮捕特権がなくなったことで、調べが本格化するとみられる。検察は朴氏の出国を禁ずる措置も検討するという。
ソウルの憲法裁判所は先週金曜日(10日)、大統領弾劾について、「親友、崔順実被告の利益のため大統領の地位と権限を乱用した」と判断。「大統領朴槿恵を罷免する」との判決を出した。韓国で大統領が罷免されるのは初。テレビを見ていた朴氏は側近に、「申し上げる言葉もない」と言ったという(聯合ニュース)。
朴氏支持者と警察衝突、3人死亡
一連の事件を「マスコミと国会が作り上げ、憲法裁判所が漏れ遊ばれたようなもの。悲劇です」とする朴氏の支持者たちの怒りは収まらなかった。「弾劾無効」を訴えて規制の警察と衝突、3人が死亡、70人余りが負傷する事態となった。
一方多数派の弾劾賛成派は、街頭で判決に歓声をあげ、「朴氏は国民を裏切った。刑事処罰を受けるべきだ」という。早くも次の選挙をにらんで動き出している人もいた。
60日以内に大統領選挙
罷免に賛成する国民が次に求めるのは、疑惑の解明だ。検察は今週中にもまず朴氏に出頭を求め、事情聴取に入るとみられる。また、罷免によって、60日以内に大統領選挙が行われることになり、4月15日には候補者の登録が開始される。選挙期間中は検察も動きづらいので、それまでに捜査を終えるのではないかとの観測だ。
司会の夏目三久「藤森さんは週末ソウルで取材して、どうでした?」
藤森祥平アナ「憲法裁判所まえの道路をはさんで、弾劾賛成派と反対派が分かれて訴えを続けていた。調査では、8割の人たちが弾劾に賛成、つまり大統領をやめさせるべきだといっていたが、当日集まってきた人たちは、多く弾劾反対の方へ行っていた。自宅にあれだけ人が集まったのもわかる。朴氏も安心したのではないか」
夏目が、朴氏への容疑を整理した。1)崔順実被告への機密漏洩2)サムスングループから約42億円の収賄、の2つだ。朴氏は大統領の不逮捕特権などを縦に、検察の事情聴取の要請に応えてこなかった。
龍崎孝(流通経済大学教授)「自ら事実を明らかにするのかどうか。それから選挙ですが、韓国では水曜日に行われるので、4月26日か5月3日になる。あまり時間がない。捜査が選挙の前なのか後になるのかもポイント」
騒動はなお2カ月は続くということだ。