取り合わなかった学校と教育委員会
息子へのいじめの存在を知った両親は学校に相談したが、それでも学校側は「少年が自ら金を支払っていた」と主張し、いじめの存在を否定。市の教育委員会に何度も訴えたが取り合ってもらえなかったという。
そんな状況の中で少年の手記は母親の目の前で書かれた。母親によると「感情のまま一気に吐き出しだと思う。すごい勢いというか、形相で書きなぐっていました」。
少年が再び不登校になって3年が経過し、まもなく中学2年生になる。現在フリースクールに通っている息子に父親は「普通の子どもが送る生活をさせてあげられなかった。それを考えると本当に悔しいですね」と話し涙を拭いた。
「ぼくはいきるときめた」と手記に書いた少年の強さに感じたのか、番組にゲスト出演した法政大学の尾木直樹教授(教育評論家)はこう話す。
「よくこの少年が死なないで生きていてくれたことにまず感謝したい。そして手記を発表してくれたことで今回の問題が見えてきたんですね。福島の子ども、若者たちは『五重苦』と言われています。その子どもをいじめてきたわけで、これはたまらないですね」
今回の『原発避難いじめ』は、弱者がより弱い立場の弱者をいじめる社会の縮図と言えるかもしれない。その社会を是正するのはやはり義務教育での教育しかないのだが、教育委員会や現場の教員がこの有様では言葉もない。
*クローズアップ現代+(3月8日放送「震災6年 埋もれていた子どもたちの声~"原発避難いじめ"の実態」
文
モンブラン