第二の「森友学園」疑惑か 岡山理科大の新設学部と安倍首相の関係は?

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   森友学園問題は籠池泰典理事長の経歴詐称疑惑まで出てきて、とどまるところを知らない。安倍晋三首相は国会でこの問題を野党から追及されるたびに、怒気を帯びたヒステリックな甲高い声をあげて否定するが、一強安倍政権を揺るがすことになるかもしれない。

   安倍は野党に対して、この問題を追及する時間をなくそうと、予算編成が終わった後の4月解散を匂わせ、御用新聞に書かせているが、収まりそうにない。

愛媛県今治市の大盤振る舞い

   週刊朝日は、安倍と「刎頚の友」である加計孝太郎理事長が運営する学校法人加計学園(岡山市)グループの一つ、岡山理科大が愛媛県今治市から獣医学部用地として払い下げを受けた土地にも疑惑があると報じている。

   この土地は広さ16・8ヘクタール、約36億7500万円相当もするものを、タダで提供し、さらに23年まで学校の総事業費192億円のうちの半分を市の補助金で負担するという、至れり尽くせりの大盤振る舞いなのである。

国家戦略特区諮問会議が認める

   ここでも妻の昭恵が加計学園が運営する認可外保育施設の名誉園長になっている。

   獣医学部の新設はハードルが高く、日本獣医学会の反対もあり、長年膠着状態だった。だが16年11月、安倍が議長を務める国家戦略特区諮問会議が認めるとの決定を行い、形だけの事業者募集を行ったが、応募したのは加計学園だけだった。

   まさに「刎頚の友」のためにひと肌もふた肌も脱いだと見られても致し方あるまい。

   週刊新潮によると、今治市は900億円もの借金を抱える財政難で、大学に補助金を出すような余裕はないという。これが火を噴くと、森友学園よりも大火になる可能性がある。

   籠池夫妻は宗教団体「生長の家」の元信者で、国粋主義的な教育を幼稚園で行い、縄跳びを100回、跳び箱8段を平気でやらせ、できないと準備室のようなところへ閉じ込め、真っ暗にして「監禁」したり、卒園アルバムを1万9800円で買わせたり、教育者としての資質の問題も各週刊誌が挙って取り上げている。

共産党に面談記録渡したのは鴻池氏?

   週刊新潮に興味深い情報がある。共産党が明らかにした籠池と鴻池元官房副長官との面談記録のネタ元は、当事者である鴻池であり、その真意は、鴻池が支持する麻生副総理への側面支援というものだったというのである。

   「麻生政権の夢よ再びとの思いがあればこそ、大嫌いな共産党にネタを持ち込む暴挙に出たんです」(官邸関係者)

   先週、籠池と近畿財務局をつないだのは私だと週刊文春に告白した川田裕介なる人物は、森友学園問題が本線である麻生―鴻池ラインにたどり着かせてはいけないから、自分が防波堤になると近しい人間に電話をかけていたと週刊新潮が報じている。

   それで麻生が森友学園問題について、政治家は「国有地の払い下げとか、いろんな陳情を聞き、それを近畿財務局、大阪航空局につないでやるのは普通のこと。それをするのが仕事の一つだ」と語った真意がわかろうというものだ。

   だがこうした川田の思惑も、鴻池の「自供会見」で「吹き飛んでしまった」(週刊新潮)のだが。

当時の理財局長が国税庁長官のブラックジョーク

   今は確定申告の時期だが、森友学園に対する国有地払い下げの責任者だった迫田英典財務理財局長は、現在、国税庁長官の座にいるため、確定申告に影響が出るのではないかと、国税庁中堅幹部がぼやいているとも週刊新潮は報じている。

   「『国益』の損失に関与していたかもしれない人物が、あろうことか国税庁長官を務めている。もはや、ブラックジョーク以外の何物でもない」(同)

   盟友の麻生も安倍失脚後を想定して動き出したようだから、安倍にとっては心安らぐところがない。

   週刊現代は、これまでは妻・昭恵の行動を黙認してきた安倍だが、今度の件では怒り心頭で、離婚も考えているのではないかと報じている。

   「昭恵さんはこの件が国会で騒がれるようになって以来、知人の前で涙ぐみながら弁解することもある。家での夫婦の会話は、すれ違いでほとんどなくなっていると聞きますが、今回ばかりは総理も堪忍袋の緒が切れた。相当強く叱責して、言い合いになったそうです」(官邸スタッフ)

安倍首相のメディア操縦術

   そんな折、安倍は2月27日に報道各社の官邸キャップたちを集めて、赤坂の「赤坂飯店」で急遽会合を開いたそうだ。この時期に、安倍にいわれてのこのこ出向く記者にも問題があるのはいうまでもない。

   そこでは「法に触れるようなことは一切やっていない」としきりに訴えていたというが、週刊ポストによると、店の前には多くの一般人が集まっていたという。

   それは『日本会議の研究』の著者である菅野完のところへ知り合いの新聞記者から通報があったため、彼がツイッターに書き込んだからだ。

   大勢の市民が店の前に集まり、デジカメやスマホで出てくる連中を撮りまくっていたそうだ。安倍はいいが、記者たちの顔はネットに上がっているのだろうか。

   アメリカではトランプがメディアを選別し、批判するメディアを遠ざけて問題になっているが、安倍首相のメディア操縦術も相当なものである。

   安倍は政権に返り咲いて以来、13年から14年にかけて、全国紙、ブロック紙、民放キー局のトップや編集幹部と重ねた会合は、2年半で50回にもなると週刊ポストが報じている。

   週刊現代によると2月7日にアメリカのエマーソン大学というところが発表した世論調査があるという。

   それによると、メディアを信用できる人は39%で、トランプ政権を信用できるという人は49%にもなるそうだ。

   米コロンビア大学ジャーナリズム科講師で、3世代にわたるトランプ家の歴史を描いた本を出している、グウェンダ・ブレアはこう指摘する。

   「主流メディアは『事実は重要である』という考え方に慣れていますが、トランプ氏にとって重要なのは『人が聞きたいことを伝える。それは必ずしも事実ではない』ということです。

   トランプ氏は選挙中から、伝統的なニュースや事実解明に力を入れるメディアの信頼性を傷つけることに注力してきました。トランプ氏は恒例のホワイトハウス記者会の夕食会を欠席しますが、それは当然です。自分を非難している主流メディアが多数出席するイベントに出る意味がないからです」

メディアより安倍政権が信用される訳

   日本でもメディアと政権の信用度は逆転しつつある。新聞通信調査会による調査によると、新聞の信頼度は100点満点中60・6点で、民放テレビは59・1点。

   しかも年々、信頼度は低下傾向にある。方や安倍政権の内閣支持率は66%と高水準が続いている(読売新聞による世論調査・2月17日~19日)のだ。

   メディアより安倍政権が信用される理由を、城南信用金庫元理事長の吉原毅は、新聞記者の意識が一般大衆と著しく乖離してしまったことを挙げ、こう語る。

   「新聞記者の多くは一流大学を出たエリートであり、自分たちのことをエスタブリッシュメント(支配者層)と考えているのではないでしょうか。エスタブリッシュメントというのは常に今の地位を守ることしか考えないため、臆病で勇気がない。

   しかも総じて彼らは高給取りです。今の生活を失いたくないという気持ちが強くなり、冒険ができなくなってしまう。その結果、読者が離れていっているのではないか」

   朝日新聞のベテラン記者もこう話す。

   「なぜ、安倍政権の支持率が高いのか、これは社内でもよく議論されます。多くの記者は『朝日は伝えるべきことを報じているのに、安倍政権の支持率が高いのは理解できない。国民への啓蒙が足りていない。朝日が世の中を正しい方向へ引っ張っていかなければ』と考えています。

   かつての『朝日』のイメージから抜け出せない連中で、これはむしろ若い記者に多い気がします。彼らは、朝日記者たるエリートの自分たちは、他人を批判したり糾弾したりする資格があると思い込んでいる。そんな思い上がりが読者に見透かされているのですが、それに気づいていない」

   私は、新聞がもう一度読まれるようになるためには、動画の調査報道に力を入れるべきだと考える。「ボウリング・フォー・コロンバイン」「インサイド・ジョブ」「シチズンフォース スノーデンの暴露」や、未見だが今年の「O.J.: Made in America」など、アカデミー賞の長編ドキュメンタリーはどんな作り物よりも面白い。

   培ってきた(とすればだが)取材力で対象に肉薄し、それを動画で流せば、テレビなどではできない「調査報道」ができるはずだ。

条件が異なっていた豊洲の地下水モニタリング調査

   ところで小池都知事と石原慎太郎のバトルが続いている。やや石原寄りと思われる週刊新潮が、環境基準の79倍のベンゼンが検出されたと発表した豊洲の地下水モニタリング調査をした業者が、都議会の特別委員会で「都に指示され、適切ではない方法で採水を行った」と爆弾発言したと報じている。

   調査するためには、溜まっていた水には雨水なども交じっているので取り除く必要がある。これをパージというそうだが、それまでの調査ではパージの翌日以降に井戸に溜まった純粋な地下水を分析していた。だが今回、1か所の井戸ではパージした水をそのまま分析に回したというのである。

   「これでは、採水条件が異なる場合は、過去の調査結果との単純な比較は困難となります」(京大大学院の米田稔教授)

   こうしたことに丁寧に答えているのだろうか、小池知事は。

ヤマト運輸が値上げ発表

   先週も触れたが、宅配便業者の最大手、ヤマト運輸がセールスドライバー(SD)たちに長時間の残業や過酷な労働を強いていたことを認め、巨額の未払い残業代を払うことや、仕事の見直しをすることを発表した。

   ネット通販が急増し、2014年には年間取扱個数は前年の14億8000万個から16億6000万個になった。SDは過酷で実入りがよくないため離職率は4割近く、応募者は少ない。それにネット通販のお客はいないことが多く、再配達率が多い。

   ネット通販の大手アマゾンの荷物を扱うようになった13年から、仕事は増えたのに人員の補充はない。しかも細かい時間指定まである。

   お客様本位が裏目に出たヤマトは、賃金や安全対策など労働環境改善に向けた取り組みのため、荷物量の抑制や時間指定の見直しなども含め、90年に100から110円(平均8%)にして以来の値上げをすると発表した。

   そこにはアマゾンなど大口法人客への運賃割引を縮小することも盛り込まれている。ヤマトが動けば他社も追随するのは間違いない。

   そうすればネット通販側も、これまでのように短時間で無料配送するビジネスの見直しを迫られることになる。消費者もこれからは、一個の荷物を宅配してもらうにはどれだけのコストがかかるのかを意識しなくてはならなくなるが、当然であろう。

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