頑張れ「ワセダクロニクル」広告費取らずクラウドファンディングで資金を集め
最後は週刊ポストの「ワセダクロニクル」というネットメディアについて。ハフィントン・ポストやバズフィードなどアメリカのネットメディアの日本版が気を吐いているが、これは日本独自のサイトである。大手広告代理店の電通から大手通信会社の共同通信の子会社に55万円が支払われた。それは製薬会社からのカネで、その製薬会社の宣伝になる記事が共同通信から配信され、地方紙に載ったというとんでもない「事実」を、内部文書をもとに「ワセダクロニクル」が配信し、大きな話題になっているのである。
ワセダと付いているからわかるが、早稲田大学のジャ-ナリズム研究所(花田達朗所長)内に設けられた調査報道プロジェクトの発信媒体なのだ。編集長は渡辺周。昨年3月まで朝日新聞にいて、評価の高かった「プロメテウスの罠」取材チームの主要メンバーだった人物である。
編集部にはフリーのジャーナリストやエンジニアが10人ほど。他にジャ-ナリズム志望の学生などが参加しているという。広告費を取らず寄付金で運営しようとしていて、政府や大企業の不正や腐敗を追及していくという。その意気やよし。
これをつくった花田教授(当時)とだいぶ前に話したことがある。大学がジャ-ナリズム専攻の学生を使ってメディアをつくり、ニュースを発信したらいいのではないかと私がいった。花田教授は賛成してくれたが、大学はそうしたことにカネを出さないから、資金をどうするか、それが問題ですともいっていた。ここはクラウドファンディングをやって資金を集めているそうだが、大学は資金を出していないのだろうか。
早稲田がカネを出していれば、文科省から天下りを受け入れていた問題は追及できるのか。われながら意地が悪いね。こうしたメディアが頑張れば、既成のメディアも刺激を受けて、もう少しましになってくれると思うのだが。