文部科学省の再就職斡旋、いわゆる天下り問題で松野博一文科相は昨日(2017年2月21日)、内部調査の中間報告を公表した。新たに国家公務員法違反と認定された事例は17件で、政府の再就職等監視委の違法判定と合わせ、違法は27件。人事課を中心とする組織的関与も明らかになった。
17件の大半に、すでに調整役として名前の出ている人事課OBの嶋貫和男氏(67)が関与していた。この嶋貫氏をめぐっては、同氏を学長とする通信制大学の新設の動きがあったことも明るみに出た。大学設置・学校法人審議会は、嶋貫氏の学術的な功績の有無が明らかでないとして、是正を求めたという。
この際、審議会の動きが、本来関係のない人事課にまで伝えられていた。また別の早大の非常勤講師のOBについて、文科相職員が「常勤」への格上げを要請した例もあった。文科省ぐるみで、大学の新設や人事にまで首を突っ込んでいる実態がさらけ出された。
子供だましの「隠蔽マニュアル」を用意
出てくる大学の名前も、筑波大、上智大、青森大、中京大など、誰でも知っている名前がずらり。また、天下り斡旋の手順や、調査を逃れるためのマニュアルまでが作られていた。文科省の主な仕事は、再就職なのか、と思ってしまうほどだ。
「あさチャン」はこれを「隠蔽マニュアル」と呼んだが、なに、それほどの内容ではない。手順としては、再就職は現在、某氏(嶋貫氏のこと)を中心に行っている、とかだ。嶋貫氏は「文教フォーラム」という団体を設立して、文科省の外で活動する体制を作っていた。
また、「いつ、誰から声がかかり、誰と面談したなどは、基本的に代表ではない誰かとする」と、嶋貫氏の名前が出ないようにともメモがあるのだが、まるで子供だまし。政府の調査そのものを舐めているとしか思えない。
菅義偉・官房長官は昨日、「教育行政を司る省庁として、決してあってはならない。極めて問題」と言ったが、大学を統括するのはここしかないんだ、というおごりみたいなものがあるのは事実。でなければ、こんなずさんな法律やぶりができるわけがない。
文科相は、前川前事務次官のほか現職の職員15人の追加処分も検討しているという。